イタイプダム

イタイプダム

イタイプダムは、ブラジルとパラグアイの国境を流れるパラナ川に建設された巨大なダムです。正式名称はスペイン語でRepresa de Itaipúといい、英語ではItaipu Damと表記されます。

概要

このダムは、中空重力式コンクリートダム、ロックフィルダム、アースダムなど複数のダム形式を組み合わせたコンバインダムとして構成されており、その堤頂の合計は7.7キロメートルを超える長大なものです。ブラジルとパラグアイが共同で出資し、管理も両国が共同で行っています。

1984年から送電を開始し、発電能力は1,400万キロワットを誇ります。これは中国の三峡ダムに次ぐ世界第二位の発電能力ですが、実際の発電実績では2015年、2016年と連続して三峡ダムを上回っており、世界一の発電量を誇るダムとなっています。

イタイプダムには計20基の発電機が備えられており、発電された電力はブラジルとパラグアイで均等に分けられます。しかし、人口の少ないパラグアイにとってはその配分の何割かで国内の電力需要を全て満たせるため、残りの電力はブラジルに売電されています。

規模

ダムの放流設備部分の高さは196メートル、長さは1,400メートルに達し、堰堤部分の長さは7,235メートルにも及びます。貯水量は290億トンという、まさに巨大な構造物です。

周辺環境

イタイプダム湖および周辺の亜熱帯半落葉林地域（パラナ上流域大西洋岸森林）には、多様な動植物が生息しています。特に、オウギワシやヒメオウギワシなどの希少な鳥類、ジャガーやピューマなどの大型哺乳類、バク、カピバラ、マザマ属、クチジロペッカリーなどが確認されています。この豊かな生態系が評価され、2017年にはユネスコの生物圏保護区に指定されました。

まとめ

イタイプダムは、ブラジルとパラグアイの経済を支える重要なインフラであると同時に、周辺地域の自然環境保全にも貢献しています。その巨大なスケールと、両国の協力体制による運営は、国際協力の成功例としても注目されています。

関連項目

メガプロジェクト

外部リンク

ダム便覧（財団法人日本ダム協会） Itaipu（イタイプダム）
「イグアスに行こう」ホームページ内イタイプダム - ウェイバックマシン（2019年1月1日アーカイブ分）
ITAIPU - イタイプ水力公社。（ポルトガル語、英語・スペイン語）

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