株式
会社イタリアン
トマトは、主に
イタリア料理を基盤とした
カフェやレストランを全国規模で
フランチャイズ展開する企業です。特に
1980年代以降は「イタトマ」の愛称で広く親しまれています。
創業から資本構成の変化
同社の歴史は
1978年に始まり、株式
会社ワールドグローリーが「イタリアン
トマト」事業を創業しました。同年
6月には、国鉄
八王子駅前に記念すべき第1号店をオープン。その後、
1981年には
フランチャイズ方式による展開を開始し、事業規模を拡大していきます。創業初期には、イタリアン
トマトのシンボルであるハート形の赤い
トマトマークについて、
1984年時点で商標権を
丸紅テックスが保有し、プラチナ万年筆がライセンス契約を結んで文具用品を販売していた時期もありました。
事業に大きな転機が訪れたのは
1986年1月です。ゲームメーカーとして知られる株式
会社ナムコが、ワールドグローリーからイタリアン
トマト事業を譲り受けました。その後、
1987年4月1日には独立した法人として株式
会社イタリアン
トマトが設立され、ナムコグループの一員となります。ナムコ時代には、ナムコの中間期決算における株主優待としてイタリアン
トマトの商品券が配布されたり、ナムコが運営していた期間限定の
テーマパーク「
ナムコ・ワンダーエッグ」の敷地内に出店したりするなど、グループシナジーを発揮する場面もありました。
その後、ナムコと
バンダイの経営統合によるグループ再編の中で、ナムコが保有していたイタリアン
トマトの株式の一部(発行済み株式総数の26.6%にあたる10万7000株)が
キーコーヒー株式
会社に譲渡されました。これにより、イタリアン
トマトは
キーコーヒーの連結子
会社となると同時に、
バンダイナムコホールディングスの
持分法適用
会社という位置づけとなりました。
そして近年、事業構造改革の一環として、
キーコーヒーは保有するイタリアン
トマトの全株式(
バンダイナムコホールディングスから取得した株式を含む)を日本共創プラットフォーム株式
会社に譲渡することを
2024年1月10日に発表。同月31日にこの株式取得が完了する予定であり、再び資本構成が大きく変わることになります。
主力商品と事業の変遷
「イタリアン」という店名ながら、特に若い女性層を中心に人気を博し、
1980年代に一世を風靡するきっかけとなったのは、アメリカ式のボリューム感がある大きな
ケーキでした。一方で、フードメニューの中心は
パスタです。多様なニーズに応えるため、
ケーキテイクアウト専門店や、タルト・キッシュ、ピッツァ、和風スイーツなどを提供する様々なコンセプトの店舗業態を展開しています。現在の主力業態は「イタリアン・
トマトCafe Jr.」で、
カフェ形式で気軽に利用できるスタイルが特徴です。過去には、カジュアルレストラン、寿司食べ放題店、ベーカリー
カフェといった、現在とは異なる業態も運営していました。
自社で
ケーキを製造しており、東京工場は
八王子市七国のみなみ野シティ内にあります。
2015年1
1月には、この工場敷地内に直売店「東京工場グランデ」がオープンし、出来立ての
ケーキなどが販売されています。
2000年代から
2010年代にかけては、安価な価格帯の
カフェチェーンとの競争が激化し、国内で約100店舗が閉鎖となる厳しい時期も経験しました。しかし、海外展開も進めており、
2018年時点では国内218店舗、海外44店舗の合計262店舗を運営しています。
ナムコゲームとの関連性
ナムコの子
会社だった時期には、その関係性をユニークな形で活かしていました。ナムコが開発したゲーム作品の中に、イタリアン
トマトの名称や
シンボルマーク、ロゴなどが登場する、いわゆる「ゲーム内広告」が行われたのです。これは時に直接の許諾がないまま行われることもありました。具体的な例としては、『プロ野球ワールドスタジアム』の日刊ナムコスポーツ内の広告欄、『
リッジレーサー』のコース上の
看板やデジタルサイネージ、『ファミスタシリーズ』の球場広告や選手
登録名(「イタトマ」)などが挙げられます。また、『
マッピーランド』では、
アイテム名が子
会社化後に「
トマト」から「イタリアン
トマト」に変更されたというエピソードも知られています。
バンダイナムコグループとなった後も、旧ナムコ系のゲーム作品を中心に、商標権の問題を避けつつ名称のみが登場するといった形で関連性が継続されています。この流れはゲームに留まらず、『
アイドルマスターシリーズ』や『
鉄拳シリーズ』といった旧ナムコ作品を
原作とする
映像作品において、
プロダクトプレイスメントとして店舗が描写される形でも現れています。
関連事項としては、かつての親
会社であるナムコや、主要株主であった
キーコーヒー、そして類似業態の企業であるダッキーダックなどが挙げられます。