イタリア人の姓名

イタリア人の姓名

イタリア人の名前は、伝統的なものが多く、そのうちの少数が全体のかなりの割合を占める傾向があります。名前の由来は、キリスト教の聖人や歴史上の人物、古代ローマ時代から存在する名前などが多く見られますが、由来となった人物を強く意識して名付けられることは少ないようです。

名前の特徴

語尾による性別の区別: 基本的に、-o で終わる名前は男性名、-a で終わる名前は女性名です。ただし、「アンドレア（Andrea）」「ニコーラ（Nicola）」「ルーカ（Luca）」のように、例外的に -a で終わる男性名も存在します。
同性尊属の名前: 祖父や祖母など、同性の親族の名前を子供に付ける伝統が現在でも残っています。特に長女に祖母の名前を付けることが多いようです。
短縮形・愛称: 同じ名前の親族を区別するためや、親しみを込めて、名前を短縮したり、-ino などの縮小辞を付けたりすることがあります。また、本名の代わりに愛称で呼ばれることもあります。
あだ名: 仲間内で同名の人がいる場合、名前の後にあだ名を付けて区別することがよくあります。
呼格: 親しい人を呼ぶ際に、一種の呼格が使われることがあります。これは短縮形としても使われることがあります。

例：
フランチェスコ(Francesco) ⇒ フランチー(Francì)
ミケーレ(Michele)、ミカエーラ(Micaela) ⇒ ミッキー(Michì, Micchì)
ロベルト(Roberto) ⇒ ロッビィ(Robì, Robbì)

名前によっては、語尾が -i ではなく、切断された音節の母音のままになる場合もあります。

イタリア特有の名前

以下は、イタリアでよく見られる名前の一例です。特に記載がない場合は男性名です。

アメデーオ(Amedeo)
アレッサンドロ(Alessandro)
アレクサンドロス大王が由来。派生形にサンドロ(Sandro)。女性形はアレッサンドラ(Alessandra)。
ヴィンチェンツォ(Vincenzo)
ウンベルト(Umberto)
エマヌエーレ(Emanuele)
女性形はエマヌエーラ(Emanuela)。
エンツォ(Enzo)
ヴィンチェンツォ、ロレンツォから派生。
エンリコ(Enrico)
ドイツ語のハインリヒが由来。
ガエターノ(Gaetano)
女性形はガエターナ(Gaetana)。
カルロ(Carlo)
ゲルマン系のカールが由来。
キアラ(Chiara)
英語のクレア(Clare)、フランス語のクレール(Claire)に相当する女性名。
グイード(Guido)
ジャコモ(Giacomo)
由来はヤコブ。
ジュゼッペ(Giuseppe)
由来はヨセフ。
ジョアッキーノ(Gioacchino)
聖人ヨアキムが由来。
ジョヴァンニ(Giovanni)
女性形はジョヴァンナ(Giovanna)。聖書のヨハネが由来。
ジョルジョ(Giorgio)
女性形はジョルジャ(Giorgia)。ゲオルギウスが由来。
ジローラモ(Girolamo)
ステーファノ(Stefano)
聖人ステファノのイタリア語読み。
チェーザレ(Cesare)
ユリウス・カエサルの「カエサル」が由来。
トンマーゾ(Tommaso)
十二使徒のトマスが由来。
パオロ(Paolo)
女性形はパオラ(Paola)。聖人パウロが由来。
バルダッサーレ(Baldassare)
ピエトロ(Pietro)
由来はペトロ。
[ピエロ]
[フィリッポ]
古代ギリシアのフィリッポス、古代ローマのフィリップスが由来。女性形はフィリッパ(Filippa)。
フェルッチョ(Ferruccio)
フランチェスコ(Francesco)
アッシジのフランチェスコが由来。女性形はフランチェスカ(Francesca)。
マウリツィオ(Maurizio)
マッシモ(Massimo)
マッテオ(Matteo)
由来はマタイ。
マルチェッロ(Marcello)
ミケーレ(Michele)
天使ミカエルが由来。「天使ミカエル」の意味でミケランジェロ(Michelangelo)が派生。
ヤーコポ(Jacopo)
由来はヤコブ。
ルイージ(Luigi)
ルドヴィーコ(Ludovico)の省略形。女性形はルイーザ(Luisa)、ルイージャ(Luigia)。短縮形・派生形はジーノ(Gino)、ジージ(Gigi 男女とも)。
ルチアーノ(Luciano)
ロレンツォ(Lorenzo)
由来はラウレンティウス。派生形にエンツォがある。
アミルカレ(Amilcare)
カルタゴ起源の名前で、ハンニバルの父ハミルカルのイタリア語読み。
アレッシオ(Alessio)
女性形はアレッシア(Alessia)。男女ともに多い名前。
オッタビオ(Ottavio)
サルヴァトーレ(Salvatore)
「救世主」という意味でイエス・キリストを指す。短縮形・派生形はトトー (Totò)。
シジズモンド(Sigismondo)
ゲルマン系のシグムンドに由来するシギスムントに相当。
ドメニコ(Domenico)
ニコロ(Niccolò)
聖ニコラウスが由来。
パスクァーレ(Pasquale)

他国にも多い名前

アルフレード(Alfredo)
派生形にアルフレディーノ(Alfredino)。
アントニオ(Antonio)
女性形はアントニア(Antonia)。古代ローマ時代の氏族名アントニウスが由来。派生としてアントニーノなど。
[アンドレア]
十二使徒のアンデレが由来。語尾が -a だが男性名。
クラウディオ(Claudio)
女性形はクラウディア(Claudia)。
クリスティアーノ(Cristiano)
クリスチャンが由来。
シモーネ(Simone)
聖ペトロの元の名前シモンが由来。女性形はシモーナ(Simona)。イタリア以外では女性名に使われる。
[ジュリオ]
ユリウス・カエサルの「ユリウス」が由来。ポルトガル語では「Júlio」。女性形はジュリア(Giulia)。
ファビオ(Fabio)
古代ローマの氏族名ファビウスが由来。
フェデリコ(Federico)
女性形はフェデリカ(Federica)。
フェルディナンド(Ferdinando)
イタリア語以外では綴りが「Ferdinand」。スペイン語・ポルトガル語ではフェルナンド(Fernando)。
[フランコ]
姓としてもよく使われる。
ベルナルド(Bernardo)
派生形にベルナルディーノ(Bernardino)。
マリオ(Mario)
古代ローマの氏族名マリウスが由来。マリーア(Maria)の男性形ではない。
マルコ(Marco)
古代ローマの個人名マルクスが由来。
[ラウラ]
月桂樹を意味する女性名。
ルーカ(Luca)
由来はルカ。
レオナルド(Leonardo)
英語ではレナード(Leonard)。
レオポルド(Leopoldo)
元はゲルマン系の名前。
ロベルト(Roberto)
ポルトガル語ではホベルト。
マウロ(Mauro)
女性形はマウラ(Maura)。

姓

イタリア人の姓は35万種もあるとされています。新聞「コリエーレ・デラ・セラ」によると、多くのイタリア人の姓には接尾辞が付き、その接尾辞によって地域性が表れるとのことです。また、アンジェラ(Angela)やロベルタ(Roberta)などの女性名が姓として使われたり、名前や地名の前に Di や De が付いたりすることもあります。以前は女性が結婚すると夫の姓と結合した姓になりましたが、現在は結婚前の姓のままです。

ルネサンス期の芸術家レオナルド・ダ・ヴィンチの「ダ･ヴィンチ(da Vinci)」は「ヴィンチ出身の」という意味であり、姓ではありません。

参考情報

イタリア人の一覧
外国語類音同義語一覧 (人名))
聖書の登場人物の一覧
* 古代ローマの人名

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