ステファノ

ステファノとは

ステファノは、新約聖書の『使徒言行録』に登場するユダヤ人キリスト教徒であり、キリスト教における最初の殉教者とされています。殉教者とは、自らの信仰を貫き通すために命を捧げた人のことを指します。

ラテン語ではステファヌス、ギリシャ語ではステファノスまたはステパノスとも呼ばれます。日本ハリストス[[正教会]]では、初致命者首輔祭聖ステファンとして記憶されています。

記憶日（記念日）は8月3日と12月26日です。8月3日は、彼の遺体が発見された日とされています。

事績

ステファノは、ギリシャ風の名前を持つことからもわかるように、ギリシャ語を話すユダヤ人（ヘレニスト）でした。初代教会において、彼はヘレニストの代表的な存在でした。

初代教会では、ヘブライ語（ユダヤ語）を話すユダヤ人（ヘブライスト）と、ギリシャ語を話すユダヤ人（ヘレニスト）の間で摩擦が生じていました。この問題を解決するために、使徒たちによって7人が選ばれ、その一人がステファノでした。他の6人はプロコロ、ニカノル、ティモン、パルメナ、ニコラオ、フィリポです。この7人の選定は、キリスト教の伝統では、助祭（輔祭）という聖職位階の選定とみなされています。

ステファノは、その容貌がまるで天使のようであり、「不思議な業としるし」によって人々を魅了しました。しかし、その活躍を快く思わない人々から訴えられ、最高法院に引き立てられます。そこでステファノは、ユダヤ人の歴史を引き合いに出しながら、当時のユダヤ教が神殿に偏重していると批判しました。その結果、ファリサイ派によって石打ちの刑に処せられました。この時、サウロ（後のパウロ）がその場に立ち会っていたとされています。

ジャン・ダニエルーは、この殉教の背景には、キリスト教内部におけるヘレニストとヘブライストの立場の違いがあったと指摘しています。

ステファノの崇敬

ステファノの墓は、415年に公式に定められました。墓はエルサレムの北部郊外にあり、多くの巡礼者を集めました。

西方キリスト教では、12月26日が特に「ステファノの日」と呼ばれています。アイルランド、イタリア、オーストリア、クロアチア、フィンランド、ドイツ、スイスでは、この日が祝日となっています。ルーマニアでは12月27日がステファンの日として祝日です。フランスでは、アルザス地域圏とモゼル県でのみ、「サンテチエンヌ」として祝日です。スペインでは、カタロニア州限定で「サン・エステーベ」が銀行休業日となります。

異名

ステファノは最初の殉教者として崇敬されており、キリスト教国では広く洗礼名として用いられています。

各言語におけるステファノの異名:
ステファノス（ギリシャ語）
ステファノ (イタリア語)
スティーヴン（英語）
エチエンヌ（フランス語）
シュテファン（ドイツ語・セルビア語）
エステーベ、エステバン（スペイン語）
ステファン、ステパン（ロシア語等スラヴ語圏）
イシュトヴァーン（ハンガリー語）

関連情報

原始キリスト教・初期キリスト教
リベルテンの会堂
聖書の登場人物の一覧
ステーファノ
聖ステファノの説教 (絵画)

参考資料

ジャン・ダニエルー 著、上智大学中世思想研究所 訳『初代教会』 1巻、平凡社〈平凡社ライブラリー, 163 . キリスト教史〉、1996年。ISBN 4582761631。

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