イタリア国鉄ETR480電車

ETR 480形は、イタリアの鉄道車両メーカーであるフィアット社（現在のアルストム社）が1997年から製造を開始した高速鉄道車両です。この車両は、ペンドリーノと呼ばれる車体傾斜システムを採用しており、曲線区間でも高速走行を可能にしています。ETR 480形は、先に製造されていたETR 460形やETR 470形と基本性能は共通していますが、電化方式において大きな違いがあります。

具体的には、ETR 470形は直流3kVとスイス国内の交流15kVに対応しており、ETR 460形は直流3kVのみに対応していました。しかし、ETR 480形は、将来的に建設されるイタリア国内の高速新線（TAV）の電化方式に対応するため、直流3kVに加えて交流25kV 50Hzにも対応できるよう設計されています。これにより、異なる電化方式を持つ路線を直通運転することが可能になり、運行の柔軟性が向上しました。

ETR 480形の編成番号は、ETR 460形からの通し番号で付与されており、31番から45番までの15編成が製造されました。製造当初、ETR 480形は新しい高速新線に対応するためのパンタグラフの準備工事のみが行われていましたが、実際に高速新線が開業するにあたり、それに対応したパンタグラフや保安装置を搭載するための改造が実施されました。

この改造を受けた編成は、ETR 485形という新しい形式が与えられ、現在ではほとんどの編成で改造が完了しています。ETR 485形となったことで、最新の高速鉄道ネットワークでその能力を最大限に発揮できるようになり、イタリア国内の高速鉄道輸送に大きく貢献しています。ETR 480形は、その後の高速鉄道技術の発展に大きな影響を与えただけでなく、イタリアの鉄道網の発展に欠かせない存在となっています。

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