イタリア領東アフリカ

イタリア領東アフリカの歴史と背景

イタリア領東アフリカ（Africa Orientale Italiana）とは、1936年から1941年まで存在したイタリアの植民地であり、エチオピアを中心に形成されました。これは第二次エチオピア戦争が引き金となり、 イタリア王国がエチオピア帝国を占領した結果で誕生した地域です。戦略的に重要な位置を占めるエチオピアは、歴史的にインド洋と地中海を繋ぐ要所として、多くの国が興味を抱く場所でもありました。

植民地化の経緯

19世紀末、植民地獲得に遅れを取っていたイタリアは、アフリカの角に進出し始めます。特に1890年代にはエリトリアを植民地化し、さらにアディスアベバを含むエチオピア帝国への野心を抱きました。 しかし、1896年のアドワの戦いではエチオピア軍がイタリアに勝利し、イタリアは一時期エチオピアの支配を諦めざるを得ませんでした。

その後もエチオピアとの関係は複雑でありましたが、1935年に再び侵攻することになります。フランコ・カタラーノやジョルジョ・ロカットなどの歴史家は、この侵略を当時のファシスト政権の威信を守るためのものだったと分析しています。

二度目の侵攻と領土形成

1935年に開始された第二次エチオピア戦争によって、イタリアはエチオピアの主要都市を占領し、1936年にイタリア領東アフリカが成立しました。この地域は、イタリア領ソマリランドやエリトリアを含む広大な植民地として形式上は華々しい姿を見せましたが、実際にはイタリアの厳しい統治下にありました。

植民地統治と分断政策

イタリアは植民地において分割統治を実施しました。特にアムハラ人は排除され、ムスリムのオロモ族が優遇されるなどの政策が取られました。また、インフラ整備や教育も行われましたが、これはイタリアの支配体制を強化する目的がありました。 例えば道路の建設や医療サービスの提供などが行われ、これにより日常生活の改善が見られる一方で、国家としての独立を脅かす結果となりました。

残虐行為とその影響

1937年にはイタリア軍による大規模な虐殺が発生しました。エチオピア人に対する制圧行動として、修道院や市民が襲撃され、数万人が殺害されました。これによって地域における反発が強まり、結局エチオピアでのレジスタンス運動が起こります。

戦争の終結とその後

1941年、第二次世界大戦の影響により、イギリス軍がエチオピアへの介入を開始しました。この結果、イタリアは敗北し、1941年にアディスアベバを失い、イタリア領東アフリカは解体されていきました。 その後、国際的な合意によってエチオピアは独立を果たす一方、エリトリアは1952年にエチオピアと連邦制を組むことになります。

結論

イタリア領東アフリカの歴史は、植民地支配の影響を色濃く残しており、国家形成や文化面においてもさまざまな課題を抱えていました。エチオピアの人々にとって、これは長い歴史の中での試練であり、その結果、国の独立や再建に向けた活動が進められていきました。

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