イドリッサ・ウエドラオゴ

イドリッサ・ウエドラオゴ

イドリッサ・ウエドラオゴ（Idrissa Ouedraogo）は、1954年1月21日に旧オートボルタ（現在のブルキナファソ）のバンフォラに生まれ、2018年2月18日にこの世を去った、ブルキナファソを代表する映画監督です。アフリカ映画を国際的な舞台に知らしめた功績を持つ人物として、その名は高く評価されています。

ワガドゥグーにあるアフリカ映画研究所（African Institute for Cinema Studies）で映画製作の基礎を学んだ後、1981年から本格的な映画製作活動を開始しました。初期のキャリアでは、1985年までに6本の短編映画を手がけ、監督としての経験を積みました。この間、彼は自身の技術をさらに磨くため、ウクライナのキエフ、そしてフランスのパリにある高等映画学院でも専門的な教育を受けています。

国際的な注目を集めるきっかけとなったのは、1987年に発表した初の長編映画『祖国アフリカ』（Yam Daabo）でした。この作品はタオルミナ国際映画祭で審査員特別賞を受賞し、長編映画監督としての第一歩を成功裏に踏み出しました。

その後の作品で、ウエドラオゴ監督の評価は決定的なものとなります。1989年公開の2作目『ヤーバ』（Yaaba）は、第42回カンヌ国際映画祭の監督週間部門に選出され、権威ある国際映画批評家連盟賞とエキュメニカル審査員賞を同時に受賞しました。翌1990年には、3作目の長編となる『掟』（Tilaï）が第43回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に選出され、見事、審査員特別グランプリを獲得しました。これらの連続した成功は、彼をアフリカ映画界を代表する存在へと押し上げました。

1992年に製作された『Samba Traoré』もまた高い評価を受けました。この作品における写実的な表現は特に注目され、翌1993年の第43回ベルリン国際映画祭では特別表彰の栄誉に浴しています。ウエドラオゴ監督の作品は、アフリカの日常生活や社会の現実を深く掘り下げながらも、普遍的な人間ドラマを描き出し、国境を越えて多くの観客の心に響きました。

彼の主な作品には以下のようなものがあります。

長編作品

祖国アフリカ (Yam Daabo, 1987年)
ヤーバ (Yaaba, 1989年)
掟 (Tilaï, 1990年)
Obi (1991年)
Samba Traoré (1993年)
Le Cri du cœur (1994年)
Afrique, mon Afrique (1994年)
Kini & Adams (1997年)
La Colère des dieux (2003年)
Kato Kato (2006年)

短編・テレビ映画

Pourquoi? (1981年) 短編
Poko (1981年) 短編
Les Écuelles (1983年) 短編
Les Funérailles du Larle Naba (1984年) 短編
Ouagadougou, Ouaga deux roues (1985年) 短編
Issa le tisserand (1985年) 短編ドキュメンタリー
A Karim na Sala (1991年) テレビ映画
Gorki (1994年) 短編
キング・オブ・フィルム/巨匠たちの60秒|キング・オブ・フィルム_巨匠たちの60秒 (Lumière et compagnie, 1995年) オムニバス
Les Parias du cinémas (1997年) 短編
Entre l'arbre et l'écorce (1999年) テレビ映画
Le monde à l'endroit (2000年) テレビ映画
Scenarios from the Sahel (2001年) 短編
Kadi Jolie (2001年) テレビシリーズ
11'09''01/セプテンバー11|11'09''01_セプテンバー11 (11'09''01 September 11, 2002年) オムニバス
Stories on Human Rights (2008年) オムニバス
The Birthday (2008年) 短編
Rien ne se jette (2010年) 短編ドキュメンタリー

イドリッサ・ウエドラオゴ監督は、その生涯を通じて、アフリカの物語を独自の視点で描き続け、国際映画界に確固たる足跡を残しました。彼の作品は、ブルキナファソ映画、ひいてはアフリカ映画の発展に多大な貢献をしました。

もう一度検索