イヌコリヤナギ

イヌコリヤナギ（犬行李柳）

イヌコリヤナギ（学名: Salix integra）は、ヤナギ科ヤナギ属に分類される落葉低木です。日本を含む東アジアに広く分布し、特に水辺で見られることが多い植物です。観賞用として栽培されることもあり、中でもハクロニシキ（白露錦、学名: S. integra 'Hakuro Nisiki'）は、その美しい葉色から人気を集めています。

特徴

イヌコリヤナギは、北海道から九州にかけての日本各地、および朝鮮半島に分布しています。成長すると高さ1.5メートルほどになり、幹の直径は10センチメートル程度まで太くなります。一年枝はまっすぐに伸び、小枝は比較的折れにくい性質を持ちます。樹皮は若木では暗灰色で滑らかですが、老木になると縦方向に裂け目が現れます。一年枝は黄褐色で、毛はありません。

花期は3月から4月で、雌雄異株です。種子には白い毛が生えており、風に乗って散布されます。冬芽は小さく卵形をしており、無毛で、一枚の芽鱗が帽子のように被さっています。枝先には2つの仮頂芽がつき、側芽は枝に対生しますが、互生することもあります。葉痕はV字形で、維管束痕が3つ見られます。

ハクロニシキ（白露錦）

ハクロニシキは、イヌコリヤナギの栽培品種で、新芽の白い葉が特徴的です。庭木や公園樹としてよく利用され、その美しい姿が親しまれています。剪定にも強く、好みの形に整えやすいことから、様々な場所で利用されています。

名前と由来

イヌコリヤナギの名前は、同じヤナギ属のコウリヤナギ（行李柳）に似ているものの、利用価値が低いという意味合いから名付けられました。コウリヤナギは、かつて行李などの材料として利用されていましたが、イヌコリヤナギはそうした用途には適さないため、「犬」という言葉が付けられたと考えられます。中国名は杞柳です。

生育環境

イヌコリヤナギは、日当たりの良い湿った場所を好みます。河原や池のほとりなど、水辺に近い場所でよく見られます。肥沃な土壌を好むため、庭植えにする場合は、腐葉土などを混ぜて植えると良いでしょう。

参考文献

* 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文『樹皮と冬芽：四季を通じて樹木を観察する 431種』誠文堂新光社〈ネイチャーウォチングガイドブック〉、2014年10月10日、201頁。ISBN 978-4-416-61438-9。

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