イマージョン・プログラム

イマージョン・プログラムとは

イマージョン・プログラム（immersion program）とは、外国語を習得するための学習方法の一つで、没入法とも呼ばれます。単に言語を学ぶだけでなく、その言語が使われている環境に身を置き、他教科を学びながら言語を自然に習得することを目指します。

概要

イマージョン・プログラムは、1960年代にカナダで始まり、現在では世界中の学校で導入されています。プログラムでは、第二言語だけでなく、英語以外の言語を習得することも可能です。

イマージョンの語源と意味

イマージョン（immersion）は、英語の「immerse（浸す）」が語源で、「その言語に浸りきって習得する」という意味があります。イマージョン・プログラムを実施する学校では、授業中はもちろん、授業以外の時間も目標言語を使用します。

サブマージョンとの違い

イマージョンと似た言葉にサブマージョン（submersion）がありますが、これは、母語が異なる生徒が、多数派の生徒が使用する言語で行われる授業に混ざって学習する形式を指します。イマージョンは、目標言語を学ぶ生徒のみで構成されたクラスで行われる点が異なります。

イマージョンの種類

イマージョン・プログラムには、開始年齢と目標言語との接触時間によって、いくつかの種類があります。

開始年齢による分類

早期イマージョン：5～6歳から開始
中期イマージョン：9～10歳から開始
晩期イマージョン：11～14歳から開始

目標言語との接触時間による分類

完全イマージョン：授業のほぼ100%を目標言語で行う。他教科も目標言語で教えられ、カリキュラム全体を通して言語習得を目指します。
二言語同時学習：地域の主流言語と目標言語を組み合わせて行う。二つの言語で読み書きができる能力の獲得、二言語同時学習を受けない子供と同等の学業達成、異文化間能力の育成が目的です。
部分イマージョン：授業の50%程度を目標言語で行い、必要に応じて言語習得のための時間を設けます。完全イマージョンほどの流暢さは求められません。
双方向イマージョン：主流言語を母語とする生徒と、目標言語を母語とする生徒が約50%ずつ在籍するクラスで、カリキュラムの50%を主流言語、残り50%を目標言語で行います。生徒同士が互いに補い合い、両言語を習得します。

イマージョンの目的

イマージョン・プログラムを導入する目的は、主に以下の通りです。

向上と保持のためのイマージョン：主流言語が目標言語となる。母語と主流言語が異なる子供を対象に行われる。
双方向イマージョン：主流語と目標言語それぞれを母語とする児童達が混在するクラスで、自分が苦手な方の言語を習得しつつ、得意な言語でクラスをリードする。
外国語イマージョン：主流言語が母語である児童達が目標言語を学ぶ。
言語継承教育：主流言語に支障はないが、家族が外国にルーツを持つ児童に対し言葉を継承するという目的で行われる。
長期母語教育：主流言語による指導を活用しながら、子供の母語を長期的に保持していくことを目的とした教育方法。

イマージョンの効果

イマージョン・プログラムは、目標言語の能力向上だけでなく、母語の学習支援や学業成績の向上にも効果があることが報告されています。

各国におけるイマージョン教育

イマージョン・プログラムは、世界各国で様々な言語を対象に実施されています。地域と関係の深い言語が選ばれることが多く、例えばアメリカでは、フランス語、ロシア語、ヘブライ語、ハワイ語などがイマージョン・プログラムに取り入れられています。

日本におけるイマージョン教育

日本では、英語イマージョン教育が注目されており、一部の学校では、国語以外の科目を英語で教育する試みが行われています。インターナショナル・スクールも、日本語を母語とする生徒にとってはイマージョン教育の場となります。

日本語イマージョンを実施している学校

アメリカ合衆国、フランス、オーストラリアなど、海外の一部の学校では、日本語イマージョン・プログラムが実施されています。

イマージョン教育の課題と展望

イマージョン・プログラムは、第二言語習得に効果的な学習方法ですが、母語の習得に支障が生じないよう、十分な配慮が必要です。今後、研究が進み、データが蓄積されることによって、その是非に関する議論が深まると予想されます。

また、増加する外国人児童生徒への教育も課題となっています。日本語指導が必要な児童生徒に対し、適切な教育環境を提供する必要があります。

まとめ

イマージョン・プログラムは、外国語を自然に習得するための効果的な学習方法です。多様な種類、目的、効果があり、世界各国で様々な言語を対象に実施されています。日本でも英語イマージョン教育が注目されており、今後の発展が期待されます。

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