アッバース1世

アッバース1世の生涯と功績

アッバース1世（1571年1月27日 - 1629年1月19日）は、サファヴィー朝の第五代シャーとしてその治世を約41年間にわたり、国家の再建と繁栄を進めたことで知られる。彼はムハンマド・ホダーバンデとハイルン・ニサー・ベーグムの間に生まれ、若干17歳で即位を果たした。

幼少期と即位前の背景

アッバースは非常に若い頃から政治の渦中にいた。1572年、彼は1歳でホラーサーン総督に任命されるが、当時は祖父や父が不安定な政局にいる中で、元々クズルバシュに守られながら成長していった。その後、彼が本格的に権力を握るきっかけとなるのは、母の暗殺とともにサファヴィー朝が衰退の危機を迎えたことだった。1588年にはクーデターによって父を退位させ、自らシャーとして即位する。

内政改革とクズルバシュの排除

アッバース1世は即位すると、まず政治の混乱を収束させるための改革を実行に移した。これには長らく支配的な地位にあったクズルバシュの弾圧が含まれており、彼はその代わりに奴隷身分を出自とした有能な人材を官職に採用した。この施策により、サファヴィー朝の政治的基盤は大きく変革を遂げ、クズルバシュの影響は次第に薄れていった。

遷都とイスファハーンの発展

1598年、アッバース1世はカズヴィーンからイスファハーンに遷都する。新しい都では「王の広場」を中心とした公共空間が整備され、イスファハーンはペルシア系、テュルク系の人々の他、異国の商人たちが集まる国際都市に成長した。この時代のイスファハーンは「世界の半分」と称され、大いなる繁栄を享受することになる。

軍事的な成功と国境の安定

アッバース1世は、1598年に回復したホラーサーンから出発し、ウズベク族を討伐することで北西国境を安定させた。これにより、次第にオスマン帝国との対抗が可能となり、1603年に始まる対オスマン戦争では、アゼルバイジャンやイラクを取り戻すことに成功する。ナスフ・パシャ条約で領土を回復し、連戦連勝の展開をみせた。

ホルムズ島の奪還と外交戦略

演劇の背景にあるのはアッバース1世の外交戦略であり、特に西欧諸国との同盟が重要な役割を果たした。彼はイングランド王国と結びつきを深め、西欧の軍事技術を取り入れて武装を近代化する。1622年にはポルトガル王国との戦争に勝利し、ホルムズ島を奪還した。これにより、サファヴィー朝の国際的地位は一層強化される。

晩年と影響

アッバース1世は1629年に58歳で逝去し、彼の死はサファヴィー朝の衰退を象徴するものであった。彼の軍事的成功は、特に西欧諸国との連携によるものであり、それによって彼の治世はペルシア史上の黄金時代として記憶される。しかし、アッバースの死後、後継者サフィー1世の無能によって国家は急速に混乱に陥り、オスマン帝国からの逆襲が始まることとなった。これにより、彼が築いた繁栄は早々に過去のものとなり、最終的にサファヴィー朝の滅亡へと繋がっていった。

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