シリケンイモリ

シリケンイモリ（Cynops ensicauda）

シリケンイモリは、有尾目イモリ科イモリ属に分類される両生類で、日本固有種です。奄美群島（奄美大島、請島、加計呂麻島、与路島など）と沖縄諸島（阿嘉島、沖縄島、慶留間島、瀬底島、渡嘉敷島、渡名喜島、浜比嘉島など）に分布しています。

形態

シリケンイモリは、オスとメスで大きさに違いがあり、オスは全長約14cm、メスは全長約18cmに成長します。頭胴長はオスが4.6 - 7.5cm、メスが5.2 - 8.5cmです。体色は背面が黒色を基本としていますが、個体によっては背面に地衣類のような明るい斑紋が入ったり、正中線に沿って橙色の筋模様が現れたりするなど、変異に富んでいます。腹面の色彩は赤色、橙色、黄色などで、黒い斑紋が入ることもあります。指趾下面は橙色や黄色をしています。繁殖期になると、オスの尾は縦方向に幅広くなる特徴があります。

分類

シリケンイモリの分類については、形態や遺伝子解析に基づいて、奄美諸島の個体群を基亜種アマミシリケンイモリ（Cynops ensicauda ensicauda）、沖縄諸島の個体群を亜種オキナワシリケンイモリ（Cynops ensicauda popei）として区別する説があります。アマミシリケンイモリは、背面に斑紋が入らない個体が多い一方、オキナワシリケンイモリは背面に地衣類状の明色斑が入る個体が多いとされています。ただし、これらの特徴は絶対的なものではなく、個体差も見られます。この分類は、日本爬虫両棲類学会の2021年の分類に従っています。

生態

シリケンイモリは、湿度の高い森林や草原などに生息し、主に夜間に活動します。繁殖様式は卵生で、12月から翌5月にかけてが主な繁殖期です。ただし、一部の地域では夏季から秋季にかけて産卵することも報告されています。産卵場所は流れの緩やかな水域や池、湿原などで、水中の水生植物、水際の落葉、水場から少し離れたスギゴケ類など、水中だけでなく陸上にも産卵することがあります。幼生は3 - 4ヶ月で変態して幼体になり、幼体から成体になるまでには2年以上かかると考えられています。

人間との関係

シリケンイモリは、地域によってアカワターやソージムヤーといった方言名で呼ばれています。しかし近年、開発による生息地の減少や分断、道路側溝での滑落死、ペット目的の乱獲などにより、生息数は減少傾向にあります。沖縄県では2017年の時点で準絶滅危惧種に指定されており、環境省のレッドリストでも準絶滅危惧（NT）として評価されています。これらの状況から、保護対策が急務となっています。

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