イランの首相

イランの首相について

イランの首相は、歴史を通じて様々な時代に存在した官職です。特にガージャール朝時代からイラン革命後の1989年まで、その役割と名称は時代によって大きく変化しました。

ガージャール朝時代

ガージャール朝における首相職は、時代によって様々な名称で呼ばれていました。主なものとして、「アターバク」または「アターバケ・アアザム」（大いなるアターバク）があり、初期には「サドレ・アアザム」（首位）、末期には「ライーソルヴォザラー」（宰相らの長）といった名称も用いられました。「ナホスト・ヴァズィール」（首相）という称号が用いられることは稀で、首相は通常その名誉称号である「ハズラテ・アシュラーフ」で呼ばれていました。

パフラヴィー朝時代

パフラヴィー朝時代における首相職については、詳細な記述がここでは省略されています。

イスラーム共和国時代

イラン革命後の1979年、ルーホッラー・ホメイニーはメフディー・バーザルガーンをイラン暫定政権の首相に任命しました。バーザルガーン暫定内閣は同年11月までその任にありましたが、アメリカ大使館人質事件を機に辞任しました。

その後、しばらく首相職は空席となりましたが、1980年1月、アボルハサン・バニーサドルが大統領に選出されると、モハンマド・アリー・ラジャーイーを首相に任命しました。この人事は、議会、特にイスラーム共和党に近い議員たちの強い圧力によるものでした。ラジャーイーは1981年6月のバニーサドルの弾劾まで首相を務め、その後、同年7月の大統領選挙で大統領に選出されました。

大統領となったラジャーイーは、モハンマド・ジャヴァード・バーホナルを首相に任命しましたが、両名はわずか数週間後の8月30日に首相府で暗殺されるという悲劇に見舞われました。

1981年10月、アリー・ハーメネイーが大統領に選出されると、議会に対して右派のアリー・アクバル・ヴェラーヤティーを首相候補として指名しましたが、左派が多数を占める議会はこれを不信任とし、左派に好ましい候補、特にミール・ホセイン・ムーサヴィーの指名を強く求めました。この対立は最高指導者ルーホッラー・ホメイニーが仲介し、ハーメネイーにムーサヴィーを受け入れるよう助言したことで決着しました。

ムーサヴィーは1989年に憲法が改正されるまで首相を務めました。この憲法改正により、首相職は廃止され、その職務は大統領と新たに設置された第一副大統領に分割されることになりました。これにより、イランの首相という役職は歴史に幕を下ろしました。

イランの首相の一覧

イランの首相の一覧については、本稿では詳細を割愛します。

関連項目

• - イランの政治
• - イランの大統領
• - イランの歴史

参考文献

イラン／ペルシアの過去2000年の宰相についての全リストは、下記の図書を参照してください。

• - حقیقیت, عبدالرفیع (1995) (ペルシア語). وزیران ایرانی از بزرگمهر تا امیر کبیر. تهران: گومش. OCLC 33854694 

この書籍は、イランの宰相の歴史を深く理解するための貴重な資料となるでしょう。

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