イラン・リヤル

イラン・リヤル（ペルシア語: ریال ایران、英語: Iranian rial）は、イラン・イスラム共和国で用いられている法定通貨です。通貨コードはISO 4217で「IRR」と表記されます。

歴史

リヤルの歴史は1798年に遡り、当初は1250ディナールの価値を持つ貨幣として導入されました。その後、様々な通貨制度が用いられましたが、1932年に十進法が導入された際に現在の貨幣体系が確立しました。導入当初、リヤルはイギリス・ポンドに為替レートが固定されていましたが、1945年以降はアメリカ・ドルにリンクするようになりました。

しかし、1979年のイラン革命によって親米的な王朝が倒れ、反米的な革命政権が成立したことで、アメリカ資本の逃避が発生し、インフレーションが深刻化しました。その結果、恒常的に年率20%台のインフレが続き、紙幣の高額化が進行しました。そのため、他の中東産油国と比較しても、イラク戦争で疲弊したイラクの通貨であるイラク・ディナールよりも高額の紙幣が発行されるようになっています。

2018年には、欧米諸国がイランの核開発に対して経済制裁を発動し、国際銀行間通信協会（SWIFT）からイランの銀行が排除されました。これにより、国際的な決済サービスが利用できなくなり、イラン・リヤルの価値は制裁前の約6分の1にまで暴落しました。

紙幣

帝政時代に発行されていた紙幣には、すべての紙幣に当時の皇帝であるパフラヴィー2世の肖像が描かれていました。しかし、イラン革命が勃発すると、彼の肖像画を模様で覆い隠した紙幣が暫定的に発行されました。その後、革命政権はモスクや革命をたたえる群衆などを描いた紙幣を順次発行し、現在ではすべての紙幣に初代最高指導者であるホメイニー師の肖像画が描かれています。

慢性的なインフレーションにより、最高額紙幣である10万リヤルでも2023年8月現在で約2.4ドル程度という低いレートとなっています。そのため、決済の便宜を図るために、さらに高額の「イラン・チェック」と呼ばれる小切手が発行されています。これは厳密には紙幣ではありませんが、市場では紙幣と同様に流通しています。

補足

補助単位としてディナールが存在しますが、インフレの影響で現在はほとんど使用されていません。
為替レートは常に変動しており、特に近年の経済制裁などの影響により、変動幅が大きくなっています。
イラン・リヤルの価値は、イランの政治情勢や経済状況に大きく左右されます。

関連情報

為替: 各通貨の交換レートは常に変動します。
為替レート: 通貨の価値は常に変動します。
現行通貨の一覧: 各国の通貨の情報は常に更新されています。
リアル (通貨): イラン以外にも、リアルという通貨を用いる国があります。
イラン・イスラム共和国中央銀行: イランの中央銀行です。

外部リンク

イラン・イスラム共和国中央銀行

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