イラン縦貫鉄道

イラン縦貫鉄道（イラン縦断鉄道）

イラン縦貫鉄道（ペルシア語: راه‌آهن سراسری ایران、英語: Trans-Iranian Railway）は、1930年代に建設が開始され、1939年に完成したイランの鉄道です。レザー・シャーの時代に建設され、首都テヘランとペルシア湾、カスピ海を結ぶ全長1394kmの路線として開通しました。

この鉄道は、イラン国内の資本のみで建設されましたが、実際には国際的な建設会社が建設に関わっています。初期の路線は急峻な山岳地帯を通過しており、1/36という急勾配が存在したため、ループ線などの高度な技術が用いられました。

建設における地形的な障害

鉄道建設においては、以下のような地形的な障害が多数発生し、一部のトンネルは放棄され、ルートの再編成が必要となりました。

岩塩ドーム: 岩塩ドームを通過するトンネルは、地下水による塩の浸食のため放棄されました。
石膏層: 硬い岩盤を掘り進めたトンネルは、掘削速度を上回る速度で崩壊する粉状の石膏層に遭遇し、放棄されました。
軽石の岩盤: 軽石の岩盤を通すトンネルは、つるはしやシャベルでの掘削が困難で、不安定なため建設を断念しました。
空洞: 山を掘削中に空洞にぶつかり、トンネル内部に橋を架ける必要が生じました。
水不足: 清潔な水の確保が難しく、モルタルやコンクリートの作成に支障をきたしました。
アルボルズ山脈: アルボルズ山脈を横断する際には、ヴァリスク橋のような大規模な橋梁を建設する必要がありました。

これらの困難にもかかわらず、主要な工程は当初のスケジュールよりも早く、予算内で完成し、1940年には最初の列車がテヘランに到着しました。

第二次世界大戦

第二次世界大戦中、イラン縦貫鉄道はペルシア湾と中央アジア、ソビエト連邦を結ぶ「ペルシア回廊」と呼ばれる重要な補給ルートの一部となりました。連合国は、RSD-1形ディーゼル機関車を含む独自の車両を投入し、鉄道輸送を積極的に支援しました。

世界遺産

2021年、イラン縦貫鉄道はユネスコの世界遺産リストに登録されました（ID1585）。

登録基準

この世界遺産は、以下の登録基準を満たしていると評価されました。

(2): ある期間を通じてまたはある文化圏において、建築、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観デザインの発展に関し、人類の価値の重要な交流を示すもの。
(4): 人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積または景観の優れた例。

TV

BBCによって、スミスという人物が洞窟に生息する魚を探す旅を記録した映像作品が制作されました。この中で、イラン縦貫鉄道の旅とトンネルなどが紹介されています。

脚注

関連項目

ペルシア回廊
王の道
* イラン・イスラーム共和国鉄道

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