イルカの島

イルカの島

アーサー・C・クラークのSF小説『イルカの島』は、少年とイルカの友情、そして自然の脅威に立ち向かう冒険を描いた作品です。クラークは本作以外にも、『海底牧場』、『グランド・バンクスの幻影』など、海洋を舞台とした作品を多く手がけています。

あらすじ

主人公は16歳の少年、ジョニー・クリントン。彼はホバークラフト貨物船「サンタアナ号」に密航し、アメリカからオーストラリアを目指していました。しかし、船は座礁し沈没。救命艇に乗り損ねたジョニーは、絶望の中、海を漂流します。そんな彼の目に飛び込んできたのは、サメの背びれではなく、イルカの背びれでした。

ジョニーは、漂流物で即席のいかだを作り、4頭のイルカに助けられて、ある島にたどり着きます。そこはグレートバリアリーフに位置する「イルカの島」と呼ばれる、イルカの研究施設がある島でした。島には研究所の他に病院や飛行場もあり、多くの人々が生活していました。ジョニーはしばらくの間、この島で暮らすことになります。

しかしある日、巨大なハリケーンが島を襲い、施設は壊滅的な被害を受けます。連絡船は破壊され、電源を失ったことで無線も使えず、島には多数の負傷者が発生。オーストラリア本土も甚大な被害を受けており、この島への支援は期待できません。そこでジョニーは、島を救うため、イルカたちと共に危険な海を渡り、本土へ救援を求めることを決意します。

主な登場人物

ジョニー・クリントン: 本作の主人公。逆境に立ち向かう勇敢な少年。
カザン教授: イルカの島の研究所所長。イルカ語を理解する。
キース博士: 研究所の副所長。
テシー: 島の病院の看護師。
ミック・ナウル: 研究所の職員で、ジョニーの友人となる。
アイナー、ペギー、スージー、スプートニク、ウースー: 知性を持つイルカたち。ジョニーと心を通わせる。

書誌情報

『イルカの島』　高橋泰邦訳、角川文庫SFジュブナイル　1976年
『イルカの島』　小野田和子訳、創元SF文庫　1994年2月18日 ISBN 4-488-61103-6

『イルカの島』は、少年とイルカの絆、自然の脅威、そして希望を描いた、心温まるSF冒険小説です。

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