イワケシ山

イワケシ山

イワケシ山は、北海道東部、北見市に位置する標高425.3メートルの山です。山名はイワケシュ山や漢字で岩毛主山と表記されることもあります。山頂部には、国土交通省国土地理院によって設置された三等三角点「南岩毛主」が置かれています。

この山は、北見山地の東部に位置し、仁倉峠、佐呂間山を経て、さらに西に連なる仁頃山へと続く山並みの一部を形成しています。仁倉峠より東側の地域においては、イワケシ山が最も標高が高く、その山体は比較的広い範囲に広がっています。

イワケシ山は、古くからこの地域に暮らしていたアイヌの人々にとって、厚い信仰の対象であり、その起源や周辺の自然現象にまつわる様々な伝説が伝えられています。例えば、斜里アイヌと北見アイヌが現在の常呂地域で衝突した際の出来事に関する伝説があります。この戦いにおいて、北見アイヌはイワケシ山に砦を築き守りを固めましたが、斜里アイヌの一団はこれを突破しました。しかし、当時のイワケシ山は女性の立ち入りが厳しく禁じられた女人禁制の山であったにもかかわらず、斜里アイヌの一団の中に女性がいたため、山の神の怒りに触れたとされています。その神罰の結果、山は炎に包まれ、敵味方関係なく、その場にいた全ての人々が焼き殺されてしまったという恐ろしい伝説です。他にも、この地域における争いの兆候があると、常呂川の水量が必ず増えるという言い伝えや、白い蛇がイワケシ山を登ると、それを合図に雷雲が発生し、激しい暴風雨が引き起こされるという伝説も残されています。この白蛇にまつわる伝説から、現在、常呂神社には龍神として祀られているとも言われています。

山の名称については、かつては「イワケシヌプリ」と呼ばれていたという記録があり、アイヌ語の「iwa-kes-nupuri」に由来すると考えられています。「iwa」は「霊山」、「kes」は「末端」、「nupuri」は「山」を意味し、「霊山の末端にある山」といった意味合いになります。ただし、現在のイワケシ山そのものが、元来「iwa-kes」が指していた場所ではないとする説も存在します。この説によれば、かつては現在のイワケシ山を「iwa（霊山）」、そして現在の北岩毛主山（標高241.5メートル）を「iwa-kes（霊山の末端）」と区別して呼んでいたとされています。しかし、時の流れとともに、本来「iwa」と呼ばれていた山、すなわち現在のイワケシ山自体が「iwa-kes」と呼ばれるようになり、そのまま「イワケシ山」という名称として定着していった、という変遷が推測されています。

イワケシ山には、整備された明確な登山道は設けられていませんが、無雪期であれば比較的多くの人が山頂を目指しています。主な登山ルートとしては、富丘林道や毛主山林道といった林道を利用し、途中で林道を離れて山頂へと向かう方法が一般的です。

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