イワバホオジロ

イワバホオジロ（岩場頬白、学名：Emberiza buchanani）は、鳥類の一種で、スズメ目に含まれるホオジロ科に分類されています。

分布

本種は主に中央アジアに分布し、繁殖期にはトルコの東部からイラン、さらにはモンゴル西部にかけての地域で子育てを行います。冬季になると、これらの繁殖地から移動し、インド西部や中国西部などで越冬して寒さをしのぎます。

日本においては、本来の分布域からは外れていますが、稀に迷鳥として飛来した記録が複数あります。具体的には、1997年10月に石川県舳倉島（へぐらじま）で初めて記録されたのを皮切りに、2008年9月には山形県酒田市沖にある飛島（とびしま）で観察されています。さらに、2012年11月には四国の愛媛県西条市でも記録されており、日本の各地で予期せぬ姿が確認されています。

形態

全長は約15cmほどの中型の鳥です。頭部の羽色は灰色をしており、背の部分は灰褐色を帯びています。体の下面、具体的には喉から腹部にかけては、淡い橙色を基調としていますが、赤褐色の斑点が散在しているため、遠目から見るとややまだら模様のように見えることがあります。嘴（くちばし）の色は橙色をしています。

外見は、同じく日本には迷鳥として稀に現れるズアオホオジロによく似ています。しかし、イワバホオジロの方が頭部の色がわずかに緑色がかっている点や、体の下面がズアオホオジロと比較して比較的単調な淡い橙色である点など、いくつかの特徴によって見分けることができます。

生態

普段の生息環境としては、低山帯から山地にかけての、特に岩場や峡谷といった開けた場所を好みます。これらの環境で餌を探したり休息したりしています。ただし、冬期になると、山間部だけでなく、平野部の荒地や農耕地など、より開けた場所や人の生活圏に近い場所にも姿を見せることがあります。

鳴き声としては、「チッ、チッ」という地鳴きが知られており、岩場などで単独あるいは小群でいる際に聞かれることがあります。

保全状態評価

国際自然保護連合（IUCN）のレッドリストにおいては、保全状態評価は「軽度懸念（LEAST CONCERN）」とされており（Ver. 3.1, 2001年評価）、現時点では絶滅の危機に瀕している種としては扱われていません。しかし、特定の地域では環境変化の影響を受ける可能性も考慮する必要があります。

参考文献:
『日本の鳥 550 山野の鳥』、文一総合出版

関連項目:
日本の野鳥一覧
* 迷鳥

もう一度検索