イワヒバ

イワヒバ（岩檜葉）

イワヒバは、ヒカゲノカズラ植物門イワヒバ科に分類されるシダ[[植物]]の一種です。その名前は、葉がヒノキに似ており、岩の上に生えることに由来します。別名としてイワマツとも呼ばれています。

形態

イワヒバは、細かく枝分かれした茎に、鱗片状の小さな葉が密集して生えているのが特徴です。他のイワヒバ科の植物とは異なり、茎は先端が伸び続けることなく、数回分枝すると成長を止めます。その後、根元から新たな茎が放射状に伸び、中心部から細かい茎が立ち上がり、先端が持ち上がって葉のような形状になります。このため、全体の姿はソテツやヤシの木のように見えることもあります。

乾燥時には、葉状の茎が内側に丸く縮みます。しかし、水分が十分に供給されると、数時間から数日かけて再び広がり、元の形に戻ります。この特徴から、イワヒバは「復活草」とも呼ばれています。この現象には、クマムシやネムリユスリカなどのクリプトビオシスと同様に、二糖類のトレハロースが関与していると考えられています。

外見上は、幹の先端に葉が輪生状に出ているように見えます。この幹は、実際には根や担根体が絡み合ったもので、「仮幹」と呼ばれます。仮幹は高さ20cm程度にまで成長し、枝分かれすることもあります。仮幹の先端からは、多数の葉状の枝が輪生状に生えます。この枝に付いている鱗片が本当の葉であり、枝は羽状に数回分枝し、全体として楕円形に広がります。枝の先端には胞子を形成する胞子のう穂が形成されます。葉は鱗片状で、枝の表面を密に覆い、背葉と腹葉の区別があります。

生育環境

イワヒバは、主に岩場に着生します。樹上に生えることは少なく、乾燥した岩場を好みます。日陰や水が常に当たるような場所にはあまり生えません。多くの場合、複数の株が集まって生育し、その根が岩盤の上にクッションのようなものを形成します。そこには他の植物が根を下ろすこともあり、様々な着生植物が集まった群落を形成することもよくあります。

日本国内では、ほぼ全域に分布していますが、温帯域よりも下に生息しており、海外では東南アジアの高山にかけて分布しています。

利用

イワヒバは、止血剤として利用された歴史もあります。また、その姿の面白さから盆栽として栽培されることも多く、特に仮幹が長く伸びたものは古木の趣があり、珍重されます。根の塊は着生植物を育てるのに適しており、大鉢にイワヒバを植え、その根元でセッコクやムギランなどを育てることもあります。

茎に斑入りのものや、枝分かれに特徴のあるものは観賞用として珍重されています。古典園芸[[植物]]としても扱われ、現在も数十の品種が存在します。古典園芸[[植物]]としては「巻柏（けんぱく）」と表記されますが、読みは「イワヒバ」です。しかし、岩場に自生するイワヒバは、採集のために減少している地域もあります。

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