イワン・マイスキー

イワン・ミハイロヴィッチ・マイスキーについて

イワン・ミハイロヴィッチ・マイスキー（1884年 - 1975年）は、ソビエト連邦の著名な外交官、歴史家、政治家として知られています。彼は駐フィンランド全権代表や駐英国大使など、外交の重要なポジションを歴任しました。また、外務人民委員代理（外務次官）としてもその手腕を発揮しました。1927年から1929年の間には、日本に対する顧問としての役割も果たしました。

早期の経歴

マイスキーは1884年にノヴゴロド県で生まれました。本名はヤン・ラコヴィエチキで、ポーランド系の出身です。父は軍医という家庭に育ち、15歳で社会主義に目覚めてからは、革命運動に参加するようになりました。オムスクの中学校では、社会民主主義思想のサークルを立ち上げ、1901年にはサンクトペテルブルク大学に入学。しかし、学生運動に参加した責任から退学を余儀なくされ、オムスクへ追放されました。

1902年にロシア社会民主労働党に入党したマイスキーは、党内のボリシェヴィキとメンシェヴィキの対立の中で揺れ動きました。さまざまな地方委員会を経て、1905年にはモスクワ武装蜂起を支持するゼネストに参加し、官憲に逮捕されてトボリスクに流刑となります。

欧州での生活と活動

1908年にはドイツに亡命し、ミュンヘン大学の経済学部に入学します。その後、ロンドンに移り、メンシェヴィキの立場を強固にしました。この時期、英語とフランス語を習得し、ヨーロッパ各国の労働運動や社会主義運動に関する研究に従事しました。第一次世界大戦が勃発すると、メンシェヴィキの内部で対立が生じ、マイスキーは国際派に所属しました。

1915年にロシアに帰国し、二月革命を経てペトログラードのソビエトおよび労働組合に参加、活動を活発化させました。その後、ロシア内戦の混乱により地方政府の労働担当者としてサマーラに移りました。メンシェヴィキとの関係を清算した後、1921年には正式にボリシェヴィキに入党することが許可されました。

外交官としてのキャリア

1922年以降、マイスキーは外交官としてのキャリアを築きました。1929年にはソ連駐フィンランド全権代表に任命され、1932年には駐英国全権代表となります。彼は当時の外務人民委員であるマクシム・リトヴィノフの信任を受けて行動し、スペイン内戦においてはソ連の非介入委員会の代表として活躍しました。

1941年には、ポーランドの将軍ヴワディスワフ・シコルスキと共に、シコルスキー・マイスキー協定に調印し、ソ連内のポーランド人を釈放させる成果を挙げました。1943年にはモスクワに呼び戻され外務人民委員代理に任命され、ヤルタ会議やポツダム会議にも参加しました。

引退後の活動

1945年に外務省を退官した後、マイスキーは歴史の研究に専念するようになりました。1946年にはソ連科学アカデミーの会員となり、モスクワ大学などで教鞭を執り、知識の普及に努めました。ところが1953年には逮捕され、かつてのスパイ活動の容疑で懲役6年の判決を受けますが、1955年に釈放されました。

その後、1968年には世界史研究所で研究を続け、特にドイツの政治や外交に関する著作を残しました。1975年に91歳で亡くなるまで、彼は歴史と外交の分野において影響力を持ち続けました。

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