インストアブランチ

インストアブランチとは

インストアブランチ（ISB）は、主に商業施設内に設置される金融機関の相談窓口として機能します。この店舗形態は、大規模な賦存型の銀行店舗、すなわちフルバンキングを提供するものとは異なり、一般的には営業所や相談窓口の形式で運営されています。具体的には、銀行の本店や支店とは独立した形態で、法人営業の機能を持たない店舗が多数を占めています。

歴史的背景

インストアブランチの形式が日本で広まった背景には、1997年に実施された銀行法の改正があります。この改正によって、新しい銀行店舗の設立規制が緩和され、欧米などで浸透していたISBスタイルの展開が現実のものとなりました。銀行の新規店舗の設置が難しかった時期に比べ、現在では多くの地銀を中心にISBの設置が進められています。

特に注目されるのは、荘内銀行が1999年にイオン山形北ショッピングセンターにISBを開設したことです。この設置がきっかけで、多くの地方銀行がこの形態を取り入れるようになりました。イオン銀行は、全国規模でISBを展開するために、関係会社に運営を委託しています。

営業形態と利用内容

インストアブランチでは、通常、現金の扱いは行われず、預金口座の取扱いに限定されます。顧客は周辺のATMを利用して現金の入出金を行い、ここでは主に住宅ローンの相談や金融商品に関する相談が受けられるのが一般的です。したがって、この店舗形態は、都市部や商業施設の中にあり、利便性の高い形で顧客にサービスを提供しています。

しかし、一般的な銀行店舗と混同しやすいため、近隣にあるフルバンキング店舗と区別することが重要です。商業施設のテナントとして入居している場合でも、ISBと分類されるには特定の要件が求められます。

現状と課題

最近では、インターネットバンキングの普及や、コロナ禍による対面接触の減少が影響し、来店客数が大幅に減少しています。そのため、かつては多くの店舗を展開していた荘内銀行が2022年までに全てのISBから撤退する事態が続出しました。また、他の地銀でも同様の理由から出店を縮小する動きが見られます。

その一方で、三井住友銀行などは新しい形態の「ストア」をオープンし、顧客向けのサービスを拡充しています。これは、従来型の店舗ではなく、より新しい形で金融サービスを提供するための店舗展開です。

インブランチストアとの違い

インストアブランチに類似する形態として、インブランチストア（Branch in Store）というモデルがあります。これは、銀行の建物内に飲食店やコンビニを誘致する形態で、1998年以降に許可されるようになりました。このように、銀行の機能を拡張した店舗形態は、今後も変化が見込まれます。

最近の事例としては、京都銀行が新しい支店を開設する際、1階にコンビニ、2階にバンクという形で複合ビルを整備しています。このような取り組みは、顧客ニーズの変化に応じた柔軟な戦略の一環です。

このように、インストアブランチは現代の金融業界において、その役割が重要視されており、今後の発展が期待されています。

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