インターン制度

インターン制度とは

インターン制度とは、1946年から1968年まで、医学部卒業生に課せられていた「診療実施修練」のことです。この制度を修了するまでは、医師国家試験の受験資格が与えられませんでした。

戦時中のインターン教育

太平洋戦争（大東亜戦争）中、日本では医師不足が深刻化しました。そのため、七帝大六医大に臨時医学専門部を設置したり、各地に医専・女子医専を急増させたりしましたが、医師養成には時間がかかり、即効性はありませんでした。

そこで国は、歯科医師を医学部に編入させ、1年間で医師免許を付与することで、医師不足を解消することを決定しました。1945年3月、厚生省は慶應義塾大学附属医学専門部（医専）と東京慈恵会医科大学附属医専の第三学年に「臨時科」を設置し、それぞれ160名の歯科医師を編入学させるように指示しました。

1946年3月に両校の「臨時科」を卒業した歯科医師は、国民医療法施行令第一条第一項第一号の規定に基づき、卒業後6ヶ月の診療修練を義務付けられ、後に医師試験の合格者に医師免許が付与されました。これが日本で初めての「インターン教育」と「医師国家試験」となりました。第一回医師試験は、「臨時科」出身の歯科医師のみを対象に、1946年11月に実施されました。

戦後のインターン教育

戦時中、日本では医学専門学校が急増設され、医学教育期間が短縮されました。学生は勤労動員に駆り出されるなど、医学教育は劣化していました。しかし、世界の医学は英米を中心に飛躍的に発展していました。

1945年、マッカーサー元帥率いる連合軍総司令部の指導で、衛生行政・医師教育の改善が指令されました。

1946年8月30日、勅令402号で国民医療法施行令が改正され、医師養成機関の卒業生には実地修練制度（インターン教育）と医師国家試験が義務付けられました。

大学医学部・医科大学・医学専門学校を卒業した者は、「一年以上の診療及び公衆衛生に関する実地修練」を経ることを、医師免許の前提たる医師国家試験の受験要件とされました。1947年3月に卒業した各大学医学部・医科大学・医専の学生は、一年間のインターン教育を受けました。1948年3月には、医学部・医科大学・医専の卒業生を対象として第二回医師国家試験が実施され、現在に至ります。

インターン教育その後

インターン教育では、医師資格を有しないインターン生が医療行為を行うため、無資格診療となり、医療事故の責任所在も明確ではありませんでした。また、インターン生は無給であったため、1967年に東大医学部のインターン生らが「医師国家試験ボイコット運動」を起こし、東大紛争が勃発するきっかけとなりました。そして、1968年に「インターン制度」は廃止されました。

日本国外の状況

中華人民共和国では、医学部を卒業後に一年間の研修が課せられ、終了後に医師国家試験の資格が付与されます。スウェーデンでは、5.5年間の医学課程修了後に学位を授与し、インターンの国家資格を付与して18〜24ヶ月間の初期研修を課します。インターンの国家資格には処方権がなく、初期研修修了後に処方権を有する医師免許が付与されます。

参考文献

* 厚生省医務局 『医制八十年史』、印刷局朝陽会（1955年）

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