インディアノーラ・ミシシッピ・シーズ

ブルース界の伝説、B.B.キングが1970年に発表したスタジオ・アルバムが『インディアノーラ・ミシシッピ・シーズ』です。この作品は、発表当時、ロックやポップスのシーンで活躍していた注目すべきミュージシャンたちをゲストに迎えたことで知られています。

制作背景と音楽性

本作には、キャロル・キング、ジョー・ウォルシュ、レオン・ラッセルといった、当時のロックシーンを牽引していたミュージシャンたちが参加しています。この異ジャンルからの才能との共演は、B.B.キングの音楽に新たな側面をもたらしました。アルバムの幕開けを飾る「ノーバディ・ラヴズ・ミー・バット・マイ・マザー」は、キング自身によるピアノの弾き語りという、シンプルながらも心に響くスタイルで演奏されています。また、レオン・ラッセルのオリジナル曲である「ハミングバード」は、ラッセルが同年発表したソロ・アルバムで既に披露されていましたが、本作では彼自身がピアノ演奏と指揮を担当し、キングのギターとボーカルが見事に融合した印象的な仕上がりとなっています。

商業的な成功

『インディアノーラ・ミシシッピ・シーズ』は、発表後にアメリカの主要な音楽チャートで良好な成績を収めました。総合アルバム・チャートであるBillboard 200では、1970年11月28日付のチャートで最高26位を記録し、これは前作『コンプリートリー・ウェル』の順位を上回る結果となりました。一方で、『ビルボード』のR&Bアルバム・チャートでは、前作には及ばなかったものの、最高8位を獲得しています。

本作からは複数のシングルがカットされ、いずれもチャートインしています。特に「ハミングバード」は先行シングルとしてリリースされ、1970年8月22日付でBillboard Hot 100で48位、R&Bシングル・チャートでは25位となりました。続く「チェインズ・アンド・シングス」はHot 100で45位、R&Bチャートで6位と、R&Bチャートでは高い順位を獲得。さらに「アスク・ミー・ノー・クエスチョンズ」もHot 100で40位、R&Bチャートで18位を記録するなど、シングルカットされた楽曲も好評を博しました。

評価と受賞

このアルバムは、音楽的な評価だけでなく、そのアートワークも高く評価されました。アルバム・ジャケットのデザインを担当したロバート・ロッカートと、写真を撮影したアイヴァン・ナギーは、第13回グラミー賞において「最優秀アルバム・カヴァー賞」を受賞しています。これは、アルバム全体の芸術性が認められた証と言えるでしょう。

専門家からの評価も概ね好意的です。オールミュージックのRon Wynnは、5点満点中4点を付け、「Hummingbird」を見事に自身の曲のように歌い上げた点や、いかなる楽曲にもブルースの色合いを巧みに加えるキングの能力を称賛しました。また、ローリング・ストーン誌に1970年12月24日に掲載されたレビューでは、Gary Von Terschがゲストピアニスト、特にキャロル・キングとレオン・ラッセルの演奏を「エキサイティング」と評し、キングが優れた理解者に囲まれて制作された本作では、選曲からアレンジ、サウンド作りにおいて「過剰さ」が見られず、完成度が高いとの見解を示しています。

収録曲

ノーバディ・ラヴズ・ミー・バット・マイ・マザー – 1:27 (B.B. King)
ユーアー・スティル・マイ・ウーマン – 6:04 (B.B. King, Dave Clark)
アスク・ミー・ノー・クエスチョンズ – 3:08 (B.B. King)
アンティル・アイム・デッド・アンド・コールド – 4:45 (B.B. King)
キングス・スペシャル – 5:10 (B.B. King) インストゥルメンタル
エイント・ゴナ・ウォーリー・マイ・ライフ・エニモア – 5:20 (B.B. King)
チェインズ・アンド・シングス – 4:53 (B.B. King, D. Clark)
ゴー・アンダーグラウンド – 4:03 (B.B. King, D. Clark)
ハミングバード – 4:38 (Leon Russell)

主な参加ミュージシャン

B.B.キング - ボーカル、ギター、ピアノ
ジョー・ウォルシュ - リズムギター
ヒュー・マクラッケン - リズムギター
キャロル・キング - ピアノ、エレクトリックピアノ
レオン・ラッセル - ピアノ、指揮
ポール・ハリス - ピアノ
ブライアン・ガロファロ - ベース
ジェラルド・ジェモット - ベース
ラス・カンケル - ドラムス
ハービー・ラヴェル - ドラムス
シャーリー・マシューズ、メリー・クレイトン、クライディ・キング、ヴェネッタ・フィールズ - コーラス
* ジミー・ハスケル - ストリングス&ホーン・アレンジ

ロックとブルースの才能が交差したこのアルバムは、B.B.キングのキャリアにおける重要な作品の一つとして位置づけられています。

もう一度検索