ラス・カンケル

ラス・カンケル

ラス・カンケル（Russ Kunkel、1948年9月2日 - ）は、アメリカ合衆国出身の著名なドラマーであり、1970年代の音楽シーンを彩ったセッション・ミュージシャンの一人です。数多くの有名アーティストのレコーディングに参加し、その卓越した演奏技術で多くの作品を支えました。

経歴

ペンシルバニア州ピッツバーグで生まれたカンケルは、音楽一家に育ち、幼い頃から音楽に親しんでいました。1968年には、キャス・エリオット（ママス&パパス）の妹であるリア・コーエンと結婚。リア自身も70年代から80年代にかけてセッション・ボーカリスト、シンガーソングライターとして活躍しました。二人の間には、後に音響技術者となるナサニエル・カンケルが誕生しています。

1974年にキャス・エリオットが急逝すると、リアはキャスの7歳の娘オーエンを引き取りました。このエピソードからも、カンケル夫妻の温かい人柄がうかがえます。

1970年代初頭には、ダニー・コーチマー（ギター）、リーランド・スカラー（ベース）、クレイグ・ダーギー（キーボード）らとインストゥルメンタル・グループ「ザ・セクション（The Section）」を結成。ザ・セクションは、高度な演奏技術と洗練された音楽性で人気を博し、1972年から1977年にかけて3枚のアルバムを発表しました。

私生活では、1990年に歌手のニコレット・ラーソンと結婚しましたが、1997年12月16日にラーソンが病気のため亡くなりました。ラーソンとの間には娘が一人います。

主な参加作品

ラス・カンケルは、そのキャリアを通じて数えきれないほどの作品に参加しています。以下に主な参加作品をまとめました。

ジェームス・テイラー
『スウィート・ベイビー・ジェイムス』（1970年）
『Mud Slide Slim and the Blue Horizon』（1971年）
『One Man Dog』（1972年）
キャロル・キング
『つづれおり』（1971年）
『ミュージック』（1971年）
『サラブレッド』（1976年）
ジョニ・ミッチェル
『ブルー』（1971年）
『For the Roses』（1972年）
ジャクソン・ブラウン
『Jackson Browne』（1972年）
『フォー・エヴリマン』（1973年）
『プリテンダー』（1976年）
『孤独なランナー』（1977年）
リンダ・ロンシュタット
『ドント・クライ・ナウ』（1973年）
『悪いあなた』（1974年）
『哀しみのプリズナー』（1975年）
『風にさらわれた恋』（1976年）
カーリー・サイモン
『ホットケーキ』（1974年）
『人生はいたずら』（1975年）
クロスビー&ナッシュ
『グラハム・ナッシュ=デイヴィッド・クロスビー』（1972年）
『ウィンド・オン・ザ・ウォーター』（1975年）
『クロスビー・ナッシュ』（2004年）
クロスビー、スティルス&ナッシュ
『CSN』（1977年）
クロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤング
『CSNY 1974』（2014年）

その他にも、ボブ・ディラン、ポール・ウィリアムズ、カーラ・ボノフ、デヴィッド・ゲイツ、スティーヴィー・ニックス、ドン・ヘンリー、アート・ガーファンクル、エリック・カルメン、浜田省吾、竹内まりや、吉田拓郎など、幅広いジャンルのアーティストの作品に参加しています。

ラス・カンケルの演奏は、楽曲に深みと彩りを与え、多くの音楽ファンを魅了し続けています。彼の音楽に対する真摯な姿勢と才能は、これからも多くの人々に感動を与え続けることでしょう。

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