インドゴムノキ

インドゴムノキ（Ficus elastica）の詳細

インドゴムノキは、クワ科イチジク属に分類される常緑高木で、別名アッサムゴムとも呼ばれています。原産地はインドのアッサム地方からインドシナにかけての地域で、自然環境下では30～40m、稀に60mにも達する高木です。幹は太く、直径2mに達することもあります。

特徴

インドゴムノキの特徴は、その樹形と葉にあります。多くの不定根（気根や支柱根）を出し、幹を支えながら成長します。葉は厚く、光沢のある長楕円形をしており、若い木ほど大きく、長さ45cmに達することもあります。葉は成長する際に赤いサヤ状の「葉鞘」に包まれており、成熟するとともに脱落します。花はイチジク属特有の構造で、特定のイチジクコバチとの共生関係によって受粉が行われます。そのため、他の植物のような派手な花や芳香は持ちません。果実は黄緑色の小さな楕円形で、食用には適していません。

栽培と利用

インドゴムノキは観葉植物として世界中で栽培されています。温暖な地域では屋外で、寒冷な地域では室内で育てられます。多くの園芸品種があり、新芽の色や葉の模様が異なるものが多数存在します。日当たりの良い場所を好みますが、高温には弱いため、夏場の直射日光には注意が必要です。乾燥には強い一方で、湿潤な環境で良く育ちます。

栽培は主に挿し木や高取り法によって行われます。高取り法では、茎に切り込みを入れて発根を促し、ミズゴケで覆って発根させます。かつては天然ゴムの原料として栽培されていましたが、より生産効率の高いパラゴムノキに取って代わられました。

園芸品種

多くの園芸品種が存在します。

‘デコラ’ (F. elastica ‘Decora’): ポピュラーな品種で、葉が厚く、葉柄が太いです。
‘デコラ・バリエガータ’ (F. elastica ‘Decora Variegata’): ‘デコラ’の斑入り品種で、葉に黄色や黄白色の斑が入ります。
‘デコラ・トリカラー’ (F. elastica ‘Decora Tricolor’): 葉の縁に白い隈取りが入る品種です。
‘アサヒ’ (F. elastica ‘Asahi’): ‘アサヒ・トリカラー’の枝変わりで、隈取りが狭いです。
‘ロブスタ’ (F. elastica ‘Robusta’): ‘デコラ’の枝変わりで、葉が丸みを帯びています。
‘アポロ’ (F. elastica ‘Apollo’): 葉の縁が波状になる特徴的な品種です。
‘ラ・フランス’ (F. elastica ‘La France’): 葉が短く、耐寒性が強い品種です。
‘アビジャン’ (F. elastica ‘Abidjan’): 葉が赤黒い色を帯びる品種です。‘バーガンディー’とも呼ばれます。
* ‘デシェリ’ (F. elastica ‘Doescheri’): 葉に白や黄白色のマーブル模様が入ります。

栽培のポイント

インドゴムノキは日当たりの良い場所を好みますが、夏の強い日差しは避けるようにします。水やりは、土の表面が乾いたらたっぷりと与え、肥料は春から秋にかけて月に1回程度、液体肥料を与えます。耐陰性はありますが、日光が不足すると、ひょろひょろと伸びてしまうことがあります。また、成長が早く、根詰まりを起こしやすいので、定期的な植え替えも必要です。冬は休眠期になるので、水やりを控えめにして、乾燥気味に管理します。ただし、‘デコラ・トリカラー’などの寒さに弱い品種は、10℃以上を保つようにしましょう。

インドゴムノキは、その美しい葉の形と育てやすさから、インテリアグリーンとして人気があります。様々な品種があるので、好みに合わせて選ぶのも楽しみの一つです。

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