インドネシア国軍

インドネシア国軍（Tentara Nasional Indonesia, TNI）

インドネシア国軍（TNI）は、東南アジアの多くの島々で構成されるインドネシアの防衛に重要な役割を果たしています。TNIは、約39万5500人の正規軍で形成され、陸軍、海軍、空軍の3つの軍種から成ります。また、2021年10月からは民間人で構成される予備部隊「Komcad」も設立されました。インドネシア軍は、かつて「インドネシア共和国国軍（ABRI）」として知られていましたが、現在の名称に変更されています。

軍の構成と役割

インドネシアの国土は広大で、民族や宗教の多様性があるため、国軍は国内の治安維持にも大きな責任を持っています。歴史的に見ても、スハルト政権下では国軍は政府の監督の下にありながらも、非常に大きな影響力を持つ存在でした。特に、スハルト政権の多くの閣僚が軍関係者であったため、国軍は政策決定の重要な要素となっていました。これにより、民族間の対立や紛争の調整にも寄与してきました。一方で、国軍の権力が強まることに対する懸念も生じており、多くの人権侵害が国際的な批判を浴びています。

歴史

インドネシア国軍は、1945年の独立戦争の発端においてゲリラ部隊として設立されました。初期には、日本の占領下で存在していた郷土防衛義勇軍や蘭印軍の将兵が集められ、人民治安団や人民治安軍が形成されました。その後、警察が国軍から分離され、国家警察として再編されました。今日のインドネシア国軍は、主に志願制で構成されており、兵器の多くはアメリカ製とされていますが、東ティモール問題により東側の兵器も導入されています。

陸軍

インドネシア陸軍は約30万人の兵力を持ち、主に軽装備の歩兵部隊が中心です。陸軍は12の軍管区に分かれており、それぞれの管区には歩兵大隊と一部の重装備が配備されています。装備には、国産のPindad自動小銃や軽戦車の他、榴弾砲やロケット砲なども含まれています。また、最近ではAMX-13の近代化やレオパルト2A6主力戦車の導入計画も進行中です。航空作戦に関しても、数機の攻撃ヘリコプターが存在します。

海軍

インドネシア海軍は、272隻の艦艇を有し、約6万5000人の兵員が配置されています。海軍は、独立後からの長い歴史を持ち、国の海洋防衛において重要な役割を果たしています。新たな艦艇取得の努力として、ドイツ製の209型潜水艦やシグマ型コルベットなども導入され、戦力の強化が進められています。また、海兵隊も編制されており、上陸戦や緊急展開に備えています。

空軍

インドネシア空軍は約3万人の兵員と346機の航空機を保有しています。重要な戦闘機には、F-16やSu-30が含まれ、空軍の戦力強化が図られています。また、C-130やCN-235などの輸送機も活用され、国内外における治安作戦や人道支援に貢献しています。2022年にはF-15やラファール戦闘機の導入も決定されており、さらなる近代化が期待されています。

結論

インドネシア国軍は、その多様な歴史的背景と国際情勢に応じた役割を持つ軍事組織です。今後も国の安全保障において重要な役割を果たし続けるでしょう。

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