インド気象局

インド気象局（IMD）について

インド気象局（India Meteorological Department、IMD）は、インド政府の管轄下にある気象観測、天気予報、地震観測を専門とする機関です。インド国内の気象に関する重要な役割を担っており、国民生活や経済活動に不可欠な情報を提供しています。また、アラビア海やベンガル湾を含むインド洋における熱帯低気圧の予報を行う地域特別気象センターとしての役割も果たしています。

歴史

インド気象局の設立は、19世紀の自然災害がきっかけでした。1864年にコルカタを襲った熱帯低気圧、1866年と1871年の季節風の弱まりによる飢饉といった事態を受け、気象観測の重要性が認識され、一つの組織として気象局を設置する運びとなりました。初期には、ヘンリー・フランシス・ブランフォードが初代の気象通報者として政府に任命され、その後、ジョン・エリオット卿がコルカタ観測所長官に就任しました。

気象局の本部は、当初コルカタに置かれましたが、その後、シムラー、プネーを経て、最終的にニューデリーへと移転しました。この変遷は、インドの首都機能の移り変わりと、気象観測における技術的な進歩を反映しています。

組織体制

インド気象局は、局長である気象局長官（Director General of Meteorology）をトップに、組織が構成されています。その下には、5名の気象局長官補（Additional Director General of Meteorology）がおり、うち4名はニューデリー、1名はプネーに拠点を置いています。さらに、20名の気象局副長官（Deputy Director General of Meteorology）がおり、そのうち10名がニューデリーに勤務しています。

インド国内には6つの地方気象センターがあり、それぞれが気象局副長官によって指揮されています。これらの地方センターは、ムンバイ、チェンナイ、ニューデリー、コルカタ、ナーグプル、グワーハーティーに設置されています。また、各州の州都には支部が設けられており、全国的な気象観測ネットワークが構築されています。

主な任務

インド気象局の主な任務は、気象観測、通信、予報、および気象サービスの提供です。気象データの収集から分析、そしてその情報を国民に提供するまで、一連の業務を担っています。特に、インド気象局は、世界中の気象機関とのデータ交換を行うために、インドで初めて電文交換コンピュータを導入した機関としても知られています。

インド宇宙研究機関（ISRO）との協力も積極的に行っており、インド国家衛星システム（INSAT）を利用してインド亜大陸の気象監視を行っています。このシステムは、気象観測の精度向上に大きく貢献しています。さらに、インド気象局は、発展途上国の中でもいち早く自国で静止気象衛星を開発・運用した機関の一つであり、技術力の高さを示しています。

国際的な連携も重要視しており、ニューデリーのインド気象局は世界気象機関（WMO）の世界気象監視計画に基づき、地域特別気象センターの一つとして活動しています。赤道以北のインド洋（アラビア海およびベンガル湾を含む）における熱帯低気圧の活動予報を担当し、その動向を常に監視しています。

インド気象局は、インドの気象分野における中核的な機関として、その活動は国民生活や経済活動に不可欠な存在です。最新技術を導入し、国際協力も積極的に行うことで、より正確で迅速な気象情報を提供することを目指しています。

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