ナーグプル

ナーグプル：インド中央部の歴史と文化の交差する都市

ナーグプルは、インド中西部に位置するマハーラーシュトラ州の都市であり、同州の冬の州都でもあります。インドのほぼ中心部に位置することから「インドの中央」を示す石碑が建てられていますが、歴史的には南インドに属するデカン地域に含まれていました。2011年現在、約240万人が暮らすこの都市は、218平方キロメートルの広がりを持つ活気ある場所です。

都市名の由来とオレンジシティ

ナーグプルという名前は、「ナーガの都市」を意味し、かつてこの地を流れていたナーグ川に由来しています。日本語表記では「ナグプル」や「ナグプール」とも表記されます。

インド国内では、高品質なオレンジの産地として広く知られており、「サントラー・ナガリー」（オレンジシティ）という愛称で親しまれています。この豊かな自然と農業が、ナーグプルの歴史と文化に深いつながりを持っています。

歴史：ゴンド王国からイギリス支配、そして仏教との深いつながり

18世紀初頭、ゴンド王国の一つであるデーオガル王国の君主によって、ナーグ川流域の集落を統合する形でナーグプルは建設され、王国の首都となりました。その後、マラーター勢力の台頭とイギリス東インド会社による支配を経て、1854年にイギリス領インド帝国に併合されます。

1956年、インド独立後の重要な出来事として、初代インド法務大臣であるビームラーオ・アンベードカルが、カースト制度に苦しむダリット（不可触民）の人々を率いて、大規模な仏教への集団改宗を行いました。この出来事の記念碑であるストゥーパは、現在もディークシャーブーミに保存されており、ナーグプルの仏教徒人口増加に大きく貢献しました。佐々井秀嶺氏を代表とする、この活動の継承者たちもナーグプルを拠点としています。そのため、ナーグプルは現在、インドの中でも比較的仏教徒の多い都市として知られています。この歴史的背景は、ナーグプルの多様な文化と宗教的側面を特徴づける重要な要素となっています。

交通：近代的なインフラ

ナーグプルには、ナーグプル駅、2019年に開通したナーグプル地下鉄（2路線運行）、そしてアンベードカルの名を冠したナーグプル国際空港と、充実した交通網が整備されています。これにより、市内での移動はもとより、国内外へのアクセスも容易になり、経済活動の活性化にも大きく寄与しています。

著名な出身者

ナーグプルからは、俳優のジョティー・アムゲ氏や、映画監督のラージクマール・ヒラーニ氏など、インドの様々な分野で活躍する著名人が輩出されています。これらの著名人たちは、ナーグプルの文化や歴史と同様に、インド社会全体への影響を与え続けています。

まとめ

ナーグプルは、歴史、文化、そして宗教が複雑に絡み合った、魅力的な都市です。オレンジシティとしての側面、仏教との深い関わり、そして近代的な都市インフラと、多様な魅力を併せ持っています。インドの中央に位置するこの都市は、今後もインドの発展に重要な役割を果たしていくでしょう。

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