インド連邦 (ドミニオン)

インド連邦：短命に終わった英連邦の自治国

インド連邦（Dominion of India）は、かつてインド亜大陸に存在した立憲君主制国家であり、イギリス連邦内の自治国（ドミニオン）として成立しました。この国家は、第二次世界大戦後のイギリス帝国の衰退と、インドにおける宗教対立という複雑な背景の中で誕生し、短期間で共和制に移行したという特徴を持ちます。

インド連邦成立の背景

第二次世界大戦終結後、イギリス帝国の国力は著しく低下し、その支配下にあった植民地各地で独立運動が活発化しました。インドもその例外ではなく、独立への機運が高まっていました。しかし、インド国内ではヒンドゥー教徒とイスラム教徒の対立が深刻化しており、統一国家としての独立は困難な状況でした。この対立は、後にインドとパキスタンという二つの国家が分離独立する要因となりました。

インド連邦の成立

1947年8月15日、ジャワハルラール・ネルーはデリーの赤い城でヒンドゥー教徒多数派地域の独立を宣言し、イギリス国王を元首とする英連邦王国インド連邦が成立しました。一方、イスラム教徒多数派地域はパキスタンとして分離独立しました。このインド連邦の成立は、イギリスからの独立という大きな変革であると同時に、宗教的な対立が深刻化する中で、インド亜大陸が二つの国家に分裂するという歴史的な転換点でもありました。

インド連邦の終焉とインド共和国の成立

インド連邦は、成立からわずか数年後の1950年にインド憲法が施行されたことにより、共和制に移行しました。これにより、インドはイギリス連邦内のインド共和国として新たにスタートを切りました。この共和制への移行は、イギリスの君主を元首とする立憲君主制から、インド国民が主権を持つ共和国へと体制が変わるという重要な出来事でした。インド連邦という国家は、短期間でその役割を終えましたが、その存在は、今日のインド共和国の成立に繋がる重要な歴史的段階であったと言えるでしょう。

インド連邦の歴史的意義

インド連邦は、短期間の国家でしたが、その歴史的意義は小さくありません。イギリスからの独立という大きな変革期において、インドが自らの国家を形成する上で重要な役割を果たしました。また、インドとパキスタンという二つの国家が分離独立したという歴史的な出来事も、インド連邦の成立と密接に関わっています。

関連項目

イギリス連邦
英連邦王国
セイロン (ドミニオン)
自治領（ドミニオン）
インド連合

外部リンク

『インド連邦』 - コトバンク

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