インド鉄道WCM4形電気機関車

インド鉄道WCM-4形電気機関車の概要と特徴

インド鉄道WCM-4形電気機関車は、1958年に日立製作所によって製造された直流電気機関車です。これは日本が戦後初めて輸出した電気機関車の一つであり、特にインド鉄道のカルカッタ（現在のコルカタ）への供給のために設計されました。WCM-4形は、同社の前モデルであるWCM-3形を踏襲しながらも、いくつかの点で改良されており、その性能は非常に高い評価を受けました。

車体構造とデザイン

WCM-4形は、前後にボンネットを持つ箱型車体を特徴としており、これはイギリス製の直流電気機関車と同様の設計です。車体の側面には4つの窓が設けられており、整備性や通風性を考慮したデザインです。運転台は左側に配置されており、インド鉄道の運用に適した設計がなされています。

機関車内には、主電動機が3台前後に分かれて設置されており、高圧機械室によって隔てられています。これにより、機関車の運転効率を最大限に引き出すことができる構造となっています。また、台車にはイコライザー式の3軸ボギー台車が2つ取り付けられており、WCM-3形と同様の高い剛性が確保されています。

主電動機と性能

WCM-4形に搭載されている主電動機はHS-373-Brで、当時の日本製の中では最大の出力を誇ります。この電動機は、インドの厳しい気候条件や電圧の変動に適応するよう設計されており、冷却性を高める工夫がされています。また、洪水対策として耐水構造が施され、点検しやすい構造になっています。

制動装置

制動装置には、イギリスのウェスチングハウス社製が採用されています。機関車単体では真空ブレーキによる制動が行われますが、連結される車両には空気ブレーキが使用されます。急勾配や曲線が多いインドの電化路線に対応するため、回生ブレーキも装備されています。

形式名の「WCM」は、「広軌（W）」「直流（C）」「貨客両用（M）」を示しており、その設計は多用途に対応しています。

運用歴

WCM-4形は1961年に運用を開始し、その高い牽引力を生かして主に貨物列車の牽引に使用されました。これにより、インド鉄道の物流を支える重要な役割を果たしました。その後、WCM-5形やWCM-6形など、国内で製造された直流機関車が登場しましたが、WCM-4形は日本から輸入された最後の直流機関車となりました。残念ながら、2014年には全車両が廃車作業に入ってしまいました。

このように、WCM-4形電気機関車は、日本の技術力が結集した先進的な機関車として、インドの鉄道発展に大きく寄与した存在でした。

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