インフル病みのペトロフ家

『インフル病みのペトロフ家』

『インフル病みのペトロフ家』（原題：Петровы в гриппе）は、2021年にロシア、フランス、スイス、ドイツの合作で制作された長編映画です。監督は、キリル・セレブレンニコフが務め、原作はアレクセイ・サリニコフの同名小説です。2021年のカンヌ国際映画祭で初公開され、日本では2022年4月23日に公開されました。

あらすじ

物語の舞台は、ロシアの地方都市。新年を迎える数日前の出来事です。主人公は、趣味で漫画を描く自動車整備士のペトロフ。彼はインフルエンザに感染し、高熱にうなされています。やがて、妻と息子にもインフルエンザが伝染し、家族は病に伏せることになります。

高熱で体が思うように動かないペトロフは、トロリーバスで帰宅する途中、旧友のイーゴリと再会します。イーゴリとその知人たちとウォッカを飲み交わすうちに、ペトロフは妄想と現実の区別がつかなくなっていきます。子供時代や青年時代の記憶が、妄想や現実と混ざり合い、観客もまた、ペトロフが見ているものが現実なのか妄想なのか、判別がつかなくなっていくのです。

物語の背景には、古代ローマやギリシャ神話の要素が散りばめられています。登場人物は神話の原型を持ち、プロットの展開も神話との類似性が見られます。魔法的リアリズムの手法で、アスピリン錠は「金羊毛」、ペトロフは「オデュッセウス」、霊柩車の運転手は「カロン」、そして旧友のイーゴリは「ハデス」として描かれています。

キャスト

ペトロフ: セミョーン・セルジン
ペトロワ: チュルパン・ハマートヴァ
イーゴリ: ユーリー・コロコリニコフ
ヴィクトル: アレクサンダー・イリン
セルゲイ: イワン・ドールン
サーシャ: ユーリー・ボリソフ
マリーナ: ユリア・ペレシルド

制作と公開

キリル・セレブレンニコフ監督が本作の映画化に着手したのは2019年5月のことでした。監督自身が政治的な理由で自宅軟禁されていた期間に脚本を執筆しました。制作は、HypeFilm、Logical Pictures、Charades（フランス）、Bord Cadre（スイス）が共同で行い、ペトロフ夫妻役には、セミョーン・セルジンとチュルパン・ハマートヴァが選ばれました。撮影は、2019年10月から2020年1月にかけて、モスクワとエカテリンブルクで行われました。

2021年6月には、第74回カンヌ国際映画祭のメインコンペティション部門に選出され、7月12日に初公開されました。ロシアでは同年9月9日に公開され、第69回サン・セバスティアン国際映画祭のコンペティションにも参加しました。

評価

カンヌ国際映画祭では、撮影監督のウラジスラフ・オペリヤンツがバルカン賞を受賞するなど、高い評価を得ました。審査員長のパスカル・モーリンは、「本物の名手であり、登場人物のイメージに熱を感じさせる」と評しました。

ロシアの映画評論家アントン・ドーリンは、原作小説よりもさらに暗く、多次元的な作品であると述べ、Vadim Rutkovskyは「ホラー、新年の寸劇、都会の家族ドラマ、郷愁、そして復活の寓話が混ざり合った強力なカクテル」と表現しました。

外部リンク

公式ウェブサイト（日本語）
MOVIE WALKER PRESSのページ'>インフル病みのペトロフ家 - MOVIE WALKER PRESS
インフル病みのペトロフ家 - allcinema
インフル病みのペトロフ家 - KINENOTE
IMDbのページ'>Petrovy v grippe - IMDb（英語）

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