イヴェタ・ラジチョヴァー

イヴェタ・ラジチョヴァー：スロバキア初の女性首相

イヴェタ・ラジチョヴァー（旧姓カラフィアートヴァー）は、1956年12月7日にブラチスラヴァで生まれました。彼女は社会学者、政治家として知られ、2010年から2012年までスロバキアの首相を務めました。スロバキア民主キリスト教連合・民主党（SDKÚ-DS）の元党首であり、スロバキア史上初の女性首相として、その名が刻まれています。

生い立ちと学歴

ラジチョヴァーは、ブラチスラヴァの旧市街区で誕生しました。父親はジャーナリストを目指していましたが、印刷所で働いていました。家庭は経済的に厳しく、兄は彼女が生まれる前に亡くなっています。1975年にコメンスキー大学社会学部を卒業後、スロバキア科学アカデミー社会学研究所で家族政策研究に携わりました。その後、母校のコメンスキー大学で教鞭を執り、1990年にはオックスフォード大学に留学しています。

政治活動への参加

1990年から1992年にかけて、非共産主義政治組織「暴力に反対する公衆」（VPN）に参加しましたが、目立った活動はしていません。その後、政治活動から一時的に離れ、史跡アカデミアイストロポリターナ副所長やコメンスキー大学政治学部講師を務めました。2005年には社会学部教授に就任し、スロバキア科学アカデミー社会学部長も務めましたが、2007年に退職しました。

政界での活躍

ラジチョヴァーは、社会政策研究の第一人者としての実績を買われ、2005年に第二次ミクラーシュ・ズリンダ内閣の労働・家庭・社会問題大臣に就任しました。2006年には国民議会選挙で初当選し、SDKÚ-DSに入党。社会問題・保健担当の副党首に就任しました。しかし、2009年には教育法改正案の議決時に同僚議員の分まで投票したことが発覚し、議員辞職を余儀なくされました。

2010年の国民議会選挙では、自らの政治資金疑惑で立候補を取り下げたズリンダの後任として党首を務めました。SDKÚ-DSの得票率は15.42%にとどまりましたが、第二党の座を維持しました。第一党の方向・社会民主主義（SMER-SD）が連立を組むことができなかったため、中道右派4党による連立政権を樹立し、スロバキア初の女性首相に就任しました。この内閣は、民主化後初めて閣僚全員が旧共産党員歴のない内閣となりました。

首相としての苦難

ラジチョヴァー政権は、ギリシャの金融危機をめぐり、欧州金融安定ファシリティ（EFSF）の機能強化を問う採決の際に、内閣信任案も同時に否決され、政権は崩壊しました。その後、総選挙が繰り上げ実施され、EFSF機能強化案は再投票で可決されました。2012年3月の国民議会選挙では、SDKÚ-DSは惨敗し、SMER-SDが単独過半数を制したため、首相を退任しました。選挙後の5月3日には、党首を辞任するとともにSDKÚ-DSを離党し、政界を引退しました。その後、母校のコメンスキー大学講師として教壇に戻りました。

人物

ラジチョヴァーは、社会学者としての知見と政治家としての経験を兼ね備えた人物です。彼女の政策は、社会福祉の向上と経済の安定を重視しており、多くの支持を集めました。また、女性の権利向上にも力を尽くし、スロバキア社会における女性の地位向上に貢献しました。

彼女の夫は、元社会学者で人気コメディ脚本家・司会者でもあったスタノ・ラジチでした。2005年に死別しています。

まとめ

イヴェタ・ラジチョヴァーは、スロバキア初の女性首相として、その功績と政治手腕は高く評価されています。社会学者としてのバックグラウンドを持ち、社会政策の専門家として、数々の政策を推進しました。スロバキア政治史において、重要な役割を果たした人物であることは間違いありません。

外部リンク

Oficiálna stránka Ivety Radičovej （イヴェタ・ラジチョヴァー公式サイト、スロバキア語）
Iveta Radičová (radicovaiveta) - Facebook

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