イヴォンヌ・エリマン

イヴォンヌ・エリマンについて

イヴォンヌ・マリアンヌ・エリマン（Yvonne Marianne Elliman）は、1951年12月29日にアメリカ合衆国ハワイ州ホノルルで生まれた多才なアーティストです。日系人の母親とアイルランド系アメリカ人の父親を持ち、シンガーソングライター、そして女優として活動しました。

生い立ちと初期キャリア

ハワイで育ったイヴォンヌは、幼い頃から父親の手ほどきでピアノに親しみました。ホノルルの高校時代には地元の学生たちと「We Folk」というバンドを結成し、音楽活動を始めます。高校卒業後、1969年にイギリスのロンドンへと渡りました。ロンドンのライブハウスやフォーククラブ、バーなどで歌っていたところ、著名な作曲家アンドリュー・ロイド・ウェバーと作詞家ティム・ライスにその才能を見出されます。

音楽キャリアの確立

ウェバーとライスに見出されたことで、彼女はロックミュージカル『ジーザス・クライスト・スーパースター』の制作に関わることになります。この作品のレコーディングに、ディープ・パープルのボーカリスト、イアン・ギランらと共に歌手として参加。特に劇中歌「I Don’t Know How to Love Him」を歌い、1971年には全米シングルチャートで28位を記録するなど、初期の成功を収めました。

1974年からは、ギターの巨匠エリック・クラプトンから招かれ、約5年間にわたり彼のバンドでバックボーカルなどを務め、その実力をさらに磨きました。

ソロアーティストとしても成功を収め、1976年にはシングル「Love Me」が全米14位、全英6位にランクイン。続くシングル「ハロー・ストレンジャー」も全米15位、イージーリスニング・チャートでは1位を獲得しました。

そして、彼女のキャリア最大のヒット曲となるのが「アイ・キャント・ハヴ・ユー」（If I Can't Have You）です。この曲はビージーズが提供した楽曲で、1978年1月にリリースされるやいなや、映画『サタデー・ナイト・フィーバー』のサウンドトラックに収録されたことで世界的な大ヒットとなりました。全米シングルチャートで堂々の1位を獲得し、全英でも4位を記録。このサウンドトラック盤は、第21回グラミー賞で最優秀アルバム賞を受賞し、イヴォンヌもその栄誉にあずかりました。

女優としての活躍

イヴォンヌは歌手としてだけでなく、女優としても評価されています。1971年には、才能を見出されるきっかけとなったロックミュージカル『ジーザス・クライスト・スーパースター』でマグダラのマリア役を演じました。1973年にノーマン・ジュイソン監督によって映画化された同作でも、引き続きマグダラのマリア役を主演として演じ、その演技が評価され、第31回ゴールデングローブ賞の映画部門主演女優賞（ミュージカル・コメディ部門）にノミネートされました。

受賞歴と作品

イヴォンヌ・エリマンは、音楽と演技の両分野で重要な業績を残しました。

受賞: 第21回グラミー賞最優秀アルバム賞（『サタデー・ナイト・フィーバー』サウンドトラック、1979年度）
ノミネート: 第31回ゴールデングローブ賞映画部門主演女優賞（ミュージカル・コメディ部門、『ジーザス・クライスト・スーパースター』、1973年度）

主なスタジオ・アルバム:

『イヴォンヌ・エリマン・ソロ』 (1972)
『フード・オブ・ラヴ』 (1973)
『ライジング・サン』 (1975)
『ラヴ・ミー』 (1977)
『ナイト・フライト』 (1978)
『イヴォンヌ』 (1979)

主なシングル:

"I Don't Know How to Love Him" (1971) - 全米28位
"Love Me" (1976) - 全米14位
"Hello Stranger" (1977) - 全米15位、イージーリスニング1位
「アイ・キャント・ハヴ・ユー」 (1978) - 全米1位
"Love Pains" (1979) - 全米34位
"Edge of the World" (1983) - 映画『ウォー・ゲーム』主題歌（インストゥルメンタル）

主な出演作品:

映画『ジーザス・クライスト・スーパースター』 (1973)
映画『サージェント・ペッパー』 (1978)
* テレビシリーズ『ハワイ5-0』 (1978-1979)

イヴォンヌ・エリマンは、そのユニークな文化的背景と多様な才能で、音楽史と映画史にその名を刻んでいます。

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