イースター (アルバム)

『イースター』は、パティ・スミスが自身のグループ名義で1978年に発表した3作目のスタジオ・アルバムです。このアルバムは、彼女にとって重要なターニングポイントとなりました。

背景

1977年1月、ボブ・シーガーのオープニングアクトとして出演したタンパ公演で、スミスはステージから転落し、頚椎骨折などの重傷を負いました。しかし、彼女は諦めずに厳しい理学療法に耐え、復活祭の日曜日までの回復を誓い、その頃に「イースター」と題する詩を書き上げました。

レコーディングは1977年11月に開始され、プロデューサーにはブルース・スプリングスティーンのアルバムでエンジニアを務めたジミー・アイオヴィーンが起用されました。アイオヴィーンはスミスにスプリングスティーンの未発表曲「ビコーズ・ザ・ナイト」を取り上げることを提案し、当初乗り気でなかったスミスも最終的にはこの曲をレコーディングしました。また、スミスは当初、「ロックン・ロール・ニガー」をタイトル曲にすることを考えていました。

リン・ゴールドスミスが撮影したアルバムジャケットは、スミスの腋毛が露出していることで物議を醸しました。レーベル側は腋毛を修正するよう要求したと伝えられています。

反響

『イースター』は、スミスにとって商業的な成功をもたらしました。Billboard 200で20位に達し、自身初の全米トップ40アルバムとなりました。シングル「ビコーズ・ザ・ナイト」はBillboard Hot 100で13位を記録しました。イギリスでは、スミス初の全英アルバムチャート入りを果たし、最高16位を記録。「ビコーズ・ザ・ナイト」は全英シングルチャートで5位、「プリヴィレッジ」は72位に達しました。ノルウェーやニュージーランドのアルバム・チャートでも上位にランクインしました。

評価

オールミュージックのWilliam Ruhlmannは、本作に5点満点中4.5点を付け、「当時としてはスミスの作品の中でも特に売れ線のサウンド」としながらも、「スミスが芸術性と商業主義の間で最良の折り合いをつけた作品」と評価しました。『ヴィレッジ・ヴォイス』誌の企画「Pazz & Jop」では1978年の最優秀アルバムで14位、『ペースト』誌の2018年の企画「1978年のベスト・アルバム」では22位に選ばれました。また、『NME』誌が2013年に選出した「The 500 Greatest Albums of All Time」では435位にランクインしました。

収録曲

Side 1
1. ティル・ヴィクトリー
2. スペース・モンキー
3. ビコーズ・ザ・ナイト
4. ゴースト・ダンス
5. ベイブローグ
6. ロックン・ロール・ニガー
Side 2
1. プリヴィレッジ
2. ウィ・スリー
3. 25階
4. ハイ・オン・リベリオン
5. イースター

1996年リマスターCDボーナス・トラック
1. ゴッドスピード

参加ミュージシャン

パティ・スミス - ボーカル、ギター
レニー・ケイ - ギター、ベース、ボーカル
アイヴァン・クラール - ベース、ギター、ボーカル
ブルース・ブロディ - キーボード、シンセサイザー
ジェイ・ディ・ドゥーティー - ドラムス、パーカッション
ジョン・ポール・フェッタ - ベース
アラン・レイニア、リチャード・ソール - キーボード
アンディ・オストロウ - パーカッション
トム・ヴァーレイン - アレンジ
ジム・マクスウェル - バグパイプ

『イースター』は、パティ・スミスの音楽的才能と不屈の精神が結実した作品として、今も多くのファンに愛されています。

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