イースIV

イースIV (Ys IV) の解説

『イースIV』は、アクションロールプレイングゲーム〈イースシリーズ〉の第4作にあたる作品群の総称です。この作品は、特殊な開発経緯により、ファルコム自身が開発したオリジナル版が存在せず、複数の会社がそれぞれ異なるプラットフォームで開発した複数の作品が存在するという、非常にユニークな状況にあります。

世界設定

物語は、広大な樹海が広がるセルセタを舞台に、主人公である赤毛の剣士アドル＝クリスティンの冒険を描いています。アドルが10代の頃に体験した、生涯で2度目の大きな冒険を綴った冒険日誌『セルセタの樹海』が原典とされています。シリーズとしては4作目にあたりますが、時間軸的には『I・II』の直後の物語であり、『III』よりも前の出来事を描いています。また、シリーズの世界観の根幹をなす「有翼人」が初めて登場した作品でもあります。

あらすじ

物語の骨子は、セルセタの樹海を舞台に、有翼人が持ち込んだとされる「太陽の仮面」の力によって繁栄した古代セルセタ文明の謎に迫るというものです。ただし、開発会社によってストーリーや結末に独自のアレンジが加えられているため、各作品で展開が異なります。

開発経緯

『イースIV』の開発は、PCエンジン版『イースI・II』と『イースIII』を開発したハドソンが、続編の開発をファルコムに打診したことがきっかけでした。当時のファルコムは制作ラインが逼迫していたため、一旦は断りましたが、ファルコムが世界観だけを制作し、ゲーム開発はハドソンが担当するという提案を受け入れ、ファルコムが原案シナリオと音楽を担当することで開発が決定しました。しかし、ゲームシステムを大幅に変更した『III』が不評だったため、『II』の続編を望む声が多く、システムのベースは『II』に戻され、ストーリーも『II』の直後から始まるイースの国に関わる形となりました。

その後、ファルコムの原案シナリオを元に、『III』のスーパーファミコンへの移植を担当したトンキンハウスと、メガドライブへのファルコム作品の移植を行っていたセガ・ファルコムが、それぞれのプラットフォーム向けに独自に開発することも決定し、3つのオリジナル版『イースIV』が開発されることになりました。このうち、SFC版『イースIV MASK OF THE SUN』とPCE版『イースIV The Dawn of Ys』は1993年に発売されましたが、MD版は開発中止となっています。

2004年には、タイトーがPlayStation 2向けにリメイク作『イースIV MASK OF THE SUN -a new theory-』を発売しました。さらに2012年には、ファルコム自身がPlayStation Vita向けに『イース セルセタの樹海』を発売し、約20年の時を経て、ファルコム自社開発による『イースIV』が実現しました。

ゲーム作品一覧

イースIV The Dawn of Ys (PCエンジン): ハドソン開発。
イースIV MASK OF THE SUN (スーパーファミコン): トンキンハウス開発。
イースIV MASK OF THE SUN -a new theory- (PlayStation 2): タイトー（開発はアークシステムワークス）制作のリメイク。
イース セルセタの樹海 (PlayStation Vita): 日本ファルコム開発のリメイク。
イース セルセタの樹海:改 (PlayStation 4|PlayStation_4): 日本ファルコム開発。Vita版のリマスター。

これらの作品は、同一の原案を元に開発されているため、ストーリーのベースや地名、人名などの固有名詞には共通点が多く見られます。しかし、開発会社によるアレンジが加えられているため、物語の展開や登場人物の役割、ゲームシステムはそれぞれ異なっており、全く別のゲームとして楽しむことができます。

メディアミックス

『イースIV』は、CD、小説、漫画など、様々なメディアで展開されています。OVAも制作が予定されていましたが、制作中止となっています。

小説

大場惑による小説版が3冊発売されています。

イースIV 序章 翼あるものの肖像
イースIV 樹海に沈みし魔宮 上
イースIV 樹海に沈みし魔宮 下

漫画

奥田ひとし（画）・糸井賢一（脚本）『イース太陽の仮面 -Mask of the Sun』
環望「イースIV Mask of the Sun」

もう一度検索