イーピー

イーピー（ep）とは

イーピー（ep）は、2000年代初頭に存在した、東経110度CSデジタル放送を利用した蓄積型放送サービスです。視聴者は、専用の受信端末「epステーション」で番組をハードディスクに録画し、好きな時に視聴することができました。このサービスは、当時のデジタル放送技術の最先端を走るものでしたが、様々な要因により短期間で終了しました。

サービスの概要

2000年、松下電器産業（現パナソニック）、東芝、ソニー、日立など14社が「eプラットフォーム設立準備会」を発足させました。この準備会は、蓄積型データ放送サービスと双方向サービスを統合した「eサービス」の規格統一と事業化を目的としていました。その後、企画会社としてイー・ピー・エフ・ネット（ePF）が設立され、委託放送事業者としてイー・ポート・チャンネル（現SCサテライト放送）が誕生しました。ePFは後にイーピー株式会社に改称されましたが、この過程でソニーは株主から撤退し、epサービスに関する特許も譲渡されました。

イーピーは、世界初の蓄積型放送サービス「ep蓄積サービス」を有料で開始しましたが、期待されたほどの事業拡大には至らず、2004年4月にサービスを終了しました。その後、無料の2チャンネルのみが残りましたが、それも後に終了しています。

受信端末「epステーション」

epサービスを利用するためには、専用の受信端末「epステーション」が必要でした。この端末は、60〜80GBのハードディスク、56kbpsのモデムなどを搭載した110度CS/BSデジタル放送受信チューナーでした。ハードディスクのうち20GBは、ショッピング、生活・地域情報、エンターテインメントなどの蓄積コンテンツを保存するために使用され、残りの容量は映像を記録するハードディスクビデオレコーダーとして利用されました。蓄積されたデータと放送番組との連動や双方向機能を利用するには、ISPとの契約が必須でした。

epステーションは、松下電器、東芝、シャープ、日本ビクターの4社から発売され、加入者は申し込み時に希望の機種を選択できました。日本ビクターモデルは松下電器のOEM供給品で、外装は異なるものの基本機能は同一でした。

サービス終了後、epステーションはハードディスクレコーダー付きチューナーとして使用できましたが、イーピー株式会社はアフターサービスを終了し、購入価格の全額返金を実施しました。東芝製の機種は、ソフトウェアが変更された上で、WOWOWのデジタル放送加入促進キャンペーン用チューナーとして転用されました。

蓄積型放送の技術

epの蓄積型放送では、デジタル放送で使用されるデータ放送と同様のBMLと、蓄積放送向けの拡張規格が採用されました。そのため、データ放送のノウハウを持つプロダクションであれば、蓄積放送コンテンツの制作は比較的容易でした。しかし、初期のBSデジタル受信機をベースに開発されたため、処理速度が遅く、カーソル移動に数秒かかるなど、操作性に難がありました。

蓄積放送に割り当てられた容量は20GBでしたが、1番組あたりの容量が少なく、映像はSDTVでDVD-Videoよりも低いビットレートに設定されていたため、長時間の収録が困難でした。コンテンツも総花的でジャンルは多いものの、特定の視聴層に向けたキラーコンテンツが不足していたという課題がありました。2005年には、一般的なハードディスクレコーダーの容量が平均500GBまで増加していたことを考えると、技術進歩に取り残されていたことは否めません。

沿革

2000年
7月: eプラットフォーム設立準備会発足（松下電器、東芝、ソニー、日立など14社が参加）
11月13日: 企画会社イー・ピー・エフ・ネット株式会社（ePF）設立
2001年
2月26日: 委託放送事業者株式会社イー・ポート・チャンネル設立（資本金50億円、10社が出資）
5月24日: ePFが事業会社に移行し、イーピー株式会社に改称（資本金52億円、30社が出資）
9月13日: イー・ポート・チャンネルをイーピー放送株式会社に改称
2002年
4月1日: 無料チャンネルep055ch、ep056chで放送開始
7月1日: 双方向蓄積型放送サービス「ep蓄積サービス」開始、メールサービス開始
2004年
4月1日: ep蓄積サービス、メールサービス終了
9月: ep055ch、ep056chが放送休止
12月: ep055chがハイビジョン放送チャンネルとして再開
2007年
3月: イーピー放送がジュピターTVの子会社となる
4月: ep055chがイーピー放送運営でのハイビジョンチャンネルを終了、ショップチャンネルのハイビジョン放送チャンネルへ変更
7月: イーピー放送がSCメディアコム（住友商事の完全子会社）の連結子会社となる
10月: イーピー放送をSCサテライト放送株式会社へ改称、チャンネル名称もep055chからショップチャンネルへ変更

主な番組

欧州 音楽の旅路～クラシック名曲特選
5.1chサラウンド番組
日本の神社と祭礼
ハッピー・リタイアメント
美悠紀行 ～鉄道沿線探勝ロマン～
城と桜　武士の魂
心と技の日本遺産
Let's Shop
リビング・ランドスケープ
Fantastic Festival
The Empire's New Clothes
The International Tokyo Motor Show
いつか行く旅
家電Style
ベネズエラ不思議紀行
美味な風景
ステディ・ポイント
ビキニ・デスティネーション!ザ・ワイルド・サイド!
ハイビジョン番組
Good-Night TOKYO
ニッポンの美食 寿司をめぐる冒険
ヨーロッパ列車紀行～男の時刻表
世界の鉄道 ｢WORLD CLASS TRAINS｣
世界の鉄道 Tracks Ahead
韓流熱風
世界より道紀行
オルカの家族たち
Soul Healing　極彩の美ハワイ
That's Bollywood! インド映画特集!
カナダの中央大平原 マニトバ・サスカチュワンに見る自然との共生
Music Profile
ファッションショー　FRONT ROW
Energy to the People（ドキュメンタリー番組）
AsianView
Get Out!
スマート・トラベル
ウィークエンド・エクスプローラー
昆虫シリーズ
Across America
日本の色彩 -Colors of Japan-
STEP BY STEP
ep channel ID
YOSHIMOTO SMILE TV

関連事項

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