ビットレート

ビットレート：データ通信の速度指標

デジタル通信において、ビットレートは単位時間あたりに転送されるビット数を示す重要な指標です。キロビット毎秒(kbit/s)、メガビット毎秒(Mbit/s)、ギガビット毎秒(Gbit/s)といった単位で表現され、データ転送速度の大きさを表します。1バイトは8ビットに相当します。

ビットレートの種類

ビットレートには、大きく分けて以下の種類があります。

1. 総ビットレート

総ビットレートは、有用なデータとプロトコルオーバーヘッド（制御情報など）を含めた、物理的に転送されるビット数の総計です。通信路の物理的な転送能力を表し、変数Rbやfbで表現されます。

シリアル通信の場合、総ビットレートRbはビット伝送時間Tbの逆数で表されます。

Rb = 1/Tb

現代の変調方式では、総ビットレートとボーレート（1秒間の変調信号変化回数）は必ずしも一致しません。多くの場合、総ビットレートの方がボーレートよりも速くなります。

パラレル通信の場合、総ビットレートは各通信路の変調方式と符号持続時間を考慮して計算されます。

2. 正味ビットレート

正味ビットレートは、プロトコルオーバーヘッド（エラー訂正符号、同期ビットなど）を除いた、実際にデータとして伝送されるビット数です。情報速度や有用ビットレートとも呼ばれ、ユーザーが実際に利用できるデータ転送速度を示します。

多くの通信システムでは、誤り訂正符号などを使用するため、総ビットレートよりも正味ビットレートの方が小さくなります。

正味ビットレートと総ビットレートの関係は、FEC符号率（Forward Error Correction）によって影響を受けます。

正味ビットレート ≤ 総ビットレート × 符号率

3. 実効伝送速度

実効伝送速度は、ネットワーク全体における平均的なデータ転送速度を表します。プロトコルオーバーヘッドだけでなく、ネットワークの輻輳やパケット損失などの影響も考慮されます。そのため、正味ビットレートよりもさらに低い値となることが一般的です。

4. 伝送成功率（Goodput）

伝送成功率は、すべてのオーバーヘッド（プロトコルオーバーヘッド、再送、遅延など）を除いた、アプリケーション層で達成された実効的なデータ転送速度です。ファイル転送の場合、転送ファイルサイズを転送時間で割ることで計算できます。

ファイル転送速度（ビット毎秒） = 転送ファイルサイズ（バイト） ÷ 転送時間（秒） × 8

伝送成功率は、通常、物理層やネットワーク層のビットレートよりも低くなります。

マルチメディアにおけるビットレート

デジタル音声や映像データにおいても、ビットレートは重要な役割を果たします。

ビットレートは、サンプリング周波数、量子化ビット数、圧縮方式などによって決定されます。一般的には、ビットレートが高いほど高品質な音声や映像が得られますが、データサイズも大きくなります。

音声データの場合、CD-DAは1,411.2 kbit/s、MP3は32 kbit/sから320 kbit/sの範囲で圧縮されます。映像データの場合、YouTubeの動画は数十kbit/sから数十Mbit/sの範囲のビットレートで配信されています。

ビットレートと通信技術の進化

通信技術の進化に伴い、ビットレートは劇的に向上しています。モデム、イーサネット、無線LAN、モバイルデータ通信など、様々な技術において、ビットレートは数十bpsから数Gbpsまで向上しています。

まとめ

ビットレートは、デジタル通信においてデータ転送速度を表す重要な指標です。総ビットレート、正味ビットレート、実効伝送速度、そして伝送成功率など、様々な種類があり、それぞれ異なる側面を表しています。マルチメディアにおいても、ビットレートはデータの品質とサイズに影響を与えます。通信技術やマルチメディアの進化に伴い、ビットレートは今後も向上していくと予想されます。

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