イーリー侯爵

イーリー侯爵は、1800年に創設されたアイルランド貴族の爵位であり、イギリスの侯爵位の一つです。この爵位は、ウェックスフォード県出身の政治家ジョン・トッテナムに端を発し、彼の家系とロフタス家の繋がりを通じて歴史を刻んできました。

爵位の創設と変遷

ジョン・トッテナム（1714–1787）は、アイルランド庶民院議員を務め、1780年にアイルランド準男爵に叙されました。彼の妻エリザベスは、初代ロフタス子爵ニコラス・ロフタスの娘であり、この結婚が後の爵位継承に大きく影響します。1783年にエリザベスの兄弟である初代イーリー伯爵ヘンリー・ロフタスが死去すると、ジョン・トッテナムの息子チャールズ・トッテナム（後の2代準男爵）がその遺産を相続し、姓をロフタスに改めました。

チャールズ・ロフタス（1738–1806）もまた、アイルランド庶民院議員やアイルランド郵政長官を務めた政治家であり、1785年にロフタス男爵、1789年にイーリーのロフタス子爵、1794年にイーリー伯爵、そして1800年にイーリー侯爵に叙されました。さらに1801年には、連合王国貴族であるロフタス男爵にも叙されています。

爵位継承の歴史

2代侯爵ジョン・ロフタス（1770–1845）も、アイルランド庶民院議員と連合王国庶民院議員を務めました。3代侯爵ジョン・ヘンリー・ロフタス（1814–1857）も、襲爵前に短期間庶民院議員を務めています。

7代侯爵が死去すると、2代侯爵の男系子孫が絶え、初代侯爵の次男ロバート・ポンソンビー・トッテナム卿（1773–1850）の玄孫にあたるチャールズ・ジョン・トッテナム（1913–2006）が8代侯爵を継承しました。ロバート・ポンソンビーが姓をロフタスからトッテナムに戻したため、8代侯爵以降の当主の姓はトッテナムとなっています。

現在のイーリー侯爵

2019年現在の当主は、8代侯爵の息子である9代イーリー侯爵チャールズ・ジョン・トッテナム（1943–）です。彼はカナダのアルバータ州カルガリーに在住しており、養子と養女が1人ずついますが、実子はいません。そのため、彼の弟であるティモシー・クレイグ・トッテナム卿（1948–）が推定相続人となっています。

現当主の保有爵位

9代イーリー侯爵チャールズ・トッテナムは、以下の爵位を保有しています。

第9代イーリー侯爵（アイルランド貴族、1800年）
第9代イーリー伯爵（アイルランド貴族、1794年）
第9代イーリーのロフタス子爵（アイルランド貴族、1794年）
第9代ウェックスフォード県におけるロフタス・ホールのロフタス男爵（アイルランド貴族、1785年）
第9代ヨーク州ロング・ロフタスのロフタス男爵（連合王国貴族、1801年）
第10代トッテナム・グリーンの準男爵（アイルランド準男爵位、1780年）

イーリー侯爵一覧

初代準男爵：サー・ジョン・トッテナム（1714年 – 1787年）
2代準男爵：サー・チャールズ・ロフタス（1738年 – 1806年） - 1785年ロフタス男爵叙爵、1789年ロフタス子爵叙爵、1794年イーリー伯爵叙爵、1800年イーリー侯爵叙爵、1801年ロフタス男爵叙爵
初代イーリー侯爵：チャールズ・ロフタス（1738年 – 1806年）
2代イーリー侯爵：ジョン・ロフタス（1770年 – 1845年）
3代イーリー侯爵：ジョン・ヘンリー・ロフタス（1814年 – 1857年）
4代イーリー侯爵：ジョン・ヘンリー・ウェリントン・グラハム・ロフタス（1849年 – 1889年）
5代イーリー侯爵：ジョン・ヘンリー・ロフタス（1851年 – 1925年）
6代イーリー侯爵：ジョージ・ハーバート・ロフタス（1854年 – 1935年）
7代イーリー侯爵：ジョージ・ヘンリー・ウェリントン・ロフタス（1903年 – 1969年）
8代イーリー侯爵：チャールズ・ジョン・トッテナム（1913年 – 2006年）
* 9代イーリー侯爵：チャールズ・ジョン・トッテナム（1943年 – ）

現在の爵位の推定相続人は、現当主の弟であるティモシー・クレイグ・トッテナム卿（1948年 – ）であり、その法定推定相続人は長男のスコット・クレイグ・トッテナム（1977年 – ）です。

イーリー侯爵は、アイルランドとイギリスの歴史が交錯する中で、数々の変遷を経て現代に受け継がれている爵位です。

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