ウィスキー型潜水艦

ウィスキー型潜水艦の概要

ウィスキー型潜水艦（Whiskey-class submarine）は、ソビエトおよびロシア海軍で運用された通常動力型潜水艦であり、ソ連海軍のプロジェクト613に基づいています。この潜水艦はNATOによってウィスキー型と呼ばれた略称で、年間236隻が建造されました。

歴史的背景

ウィスキー型潜水艦は、第二次世界大戦中にナチス・ドイツのXXI型潜水艦のデザインを取り入れており、1949年から1958年にかけて多くが建造されました。元々は沿岸警備用として設計されたこの艦艇は、1950年代から1960年代にかけて、誘導ミサイル潜水艦として改修されていきました。おおよそ1956年頃に最初の改造が施されたウィスキー型は、1基のP-5（SS-N-3 Shaddock）巡航ミサイル発射管を搭載していました。

その後、発射管の数や配置に応じて様々な派生型が登場しました。シングルシリンダータイプは発射管が水平でしたが、発射前に艦体を上向きにする必要がありました。また、ツインシリンダータイプやロングビン型へと進化し、発射管の増設が行われました。しかし、運用実績は振るわず、各型は早々に退役しました。これに伴い、レーダーピケット艦や漁業用の潜水艦として使われた艦もわずかに残りました。

輸出と活用

ウィスキー型潜水艦は主に通常型のみが輸出され、誘導ミサイル仕様は国外には供給されませんでした。エジプトや中国、アルバニアなどに数隻が渡り、日本国内の防衛も考慮されたエピソードも多く見られます。特に中国では、ソ連から供給された部品を利用して新たな潜水艦を自国生産し、名を03型としましたが、これらは既に退役しています。

特異な逸話

1989年には、ペプシコーラと物々交換で17隻のウィスキー型潜水艦が同社に渡され、軍事素材から清涼飲料の原液への転用が行われました。このような珍しい取引もウィスキー型の歴史における一コマです。

技術的仕様

ウィスキー型は水上排水量が約1,080トン、水中では1,350トンに達します。全長76.6メートルで（水中派生型は83.3メートル）、幅はおおよそ6.3から6.5メートル、喫水は4.9メートルです。出力は水上で4,000馬力、水中で2,500馬力であり、速力は水上で18.5ノット、水中で13ノットです。シュノーケルを使用する場合、速度は7ノットになります。航続距離は水上で13,500海里、水中で6,500海里に及び、非常に優れた航続能力を誇ります。

結論

ウィスキー型潜水艦は、その歴史的背景から、多様な用途と派生型を持ち、現代においても多くの物語を残しています。現在も一部が退役後の解体を経て利用される一方、解体されずに放置されている艦も見受けられ、ウラジオストック軍港ではその姿を確認することができます。

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