ウィズ (映画)

映画『ウィズ』について

『ウィズ』（原題: The Wiz）は、1978年に公開されたアメリカのミュージカル冒険映画です。この作品は、ライマン・フランク・ボームの名作『オズの魔法使い』を基にしたブロードウェイミュージカル『ザ・ウィズ』を映画化したもので、アフリカ系アメリカ人を主役とした新たな視点で描かれています。映画は、シャイな24歳のニューヨークの教師ドロシーが不思議なオズの国に迷い込み、元の世界に帰るための旅を描いています。

制作背景

『ウィズ』はモータウン・プロダクションズとユニバーサル・ピクチャーズにより制作され、シドニー・ルメットが監督を務めました。主演にはダイアナ・ロス、マイケル・ジャクソン、リチャード・プライヤーなどの豪華キャストが揃い、音楽はクインシー・ジョーンズが担当しています。撮影はニューヨークで行われ、特にエメラルド・シティのシーンは多くのダンサーとスタッフの協力の下、華やかに展開されました。

あらすじ

物語は、感謝祭のディナーを囲むドロシーの家族から始まります。ドロシーは、飼い犬トトを追って猛吹雪に飛び込んでしまい、オズの王国に迷い込みます。そこで彼女は、命を救ったカカシやブリキ男、臆病ライオンと出会い、家に帰るためのウィズを探す冒険を繰り広げます。彼らはそれぞれの願いを持ちながら、ウィズに会うために困難な道のりを進んでいきます。

途中、悪い魔女エヴィリンとの対決や、ポピー・ガールズに眠らされそうになるなど、数々の試練を乗り越え、最終的には友情と勇気を手に入れるドロシーたちの姿が描かれます。

公開と評価

公開当初、『ウィズ』は批評的な評価と商業的成功に恵まれませんでした。特にダイアナ・ロスの年齢を理由に批判を受け、結果的には興行収入も期待に届かないものでした。しかし、映画の独自の視点や音楽、衣装デザインは後に再評価され、特にアフリカ系アメリカ人コミュニティの中ではカルト映画としての地位を確立しています。また、マイケル・ジャクソンの唯一の映画主演作として特に注目されるようになりました。

音楽と受賞歴

映画の音楽もまた大きな魅力の一つです。チャーリー・スモールズやクインシー・ジョーンズによるオリジナル楽曲が劇中で使用されており、特に『Believe in Yourself』などはいまだに多くの人々に愛されています。『ウィズ』はアカデミー賞で4部門にノミネートされましたが、受賞には至りませんでした。

まとめ

『ウィズ』はその批評的、商業的な成功とは裏腹に、多くのファンを持つ作品として今も語り継がれています。特にアフリカ系アメリカ人の文化や歴史を象徴する作品として、また新たな解釈をもたらした『オズの魔法使い』の異色作として、映画界における重要な位置を占めています。

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