ウィリアムズ・FW30

ウィリアムズ・FW30の概要

ウィリアムズ・FW30は、ウィリアムズF1チームが2008年のF1世界選手権のために開発したフォーミュラ1カーです。このマシンは、前年のFW29から進化したものであり、他チームが採用しているトレンドを取り入れたデザインが特徴です。その特徴的な外観は、特に大型のフロントウィングや洗練されたリヤの形状に表れています。

開発の背景

FW30は、進化を遂げたFW29を基にしており、各チームが採用しているデザインの流れに合わせて改良されています。特に、空力性能を向上させるため、フロントとリヤのウィング形状が見直され、効率的なダウンフォースの生成を狙っています。しかし、ダウンフォースの不足が課題となり、このマシンの性能に影を落とすことになります。

記念カラーリング

FW30は、ウィリアムズF1チームの参戦30周年を祝う特別なカラーリングを展開しました。冬季テストでは、6種類の異なるデザインが披露される中、シェイクダウンセッションでは2番目のカラーリングが初公開されました。この時、マシンのフロントノーズには519人のウィリアムズの従業員の名前や、長年にわたってチームを支えてきた85社のスポンサーの名前が記載されています。また、リアウィングの翼端板には「THANK YOU TO ALL OF OUR FANS」というメッセージも添えられています。

4番目のカラーリングは、過去30年間のチームの記録を示す数字を描いており、5番目のデザインでは、7人のワールドチャンピオンからのメッセージが印刷されています。さらに、モノコック部分には、ウィリアムズに在籍した全31人のドライバーの名前が刻まれています。

パフォーマンスの特性

FW30は機械的なグリップに優れているものの、ダウンフォースの不足が明確な課題となっています。開幕戦であるオーストラリアGPでは表彰台を獲得する活躍を見せましたが、シーズンが進むにつれて競技力の低下が顕著になりました。特に、ローダウンフォースの空力パッケージを装着した状態での低速セクションの走行は難しく、マニクールやシルバーストンといった高速サーキットで大きな苦戦を強いられるのが現実でした。

スペック

シャーシ

• - シャーシ名: FW30
• - 全長: 4,500 mm
• - 全幅: 1,800 mm
• - 全高: 950 mm
• - ホイールベース: 3,100 mm
• - クラッチ: AP
• - ブレーキキャリパー: AP
• - ブレーキディスク・パッド: カーボンインダストリー
• - ホイール: レイズ鍛造マグネシウム
• - タイヤ: ブリヂストン
• - ギヤボックス: ウイリアムズ7速セミオートマチックシームレスギヤボックス/アルミニウム製ケーシング
• - エレクトロニクス: MES-マイクロソフト スタンダードECU
• - 重量: 605kg

エンジン

• - エンジン名: トヨタRVX-08
• - 気筒数・角度: V型8気筒（90度）
• - 排気量: 2,398cc
• - 最高回転数: 19,000回転（レギュレーションによる）
• - 最大馬力: 約740馬力
• - バルブ駆動: 圧搾空気式
• - スロットル駆動: 油圧式
• - スパークプラグ: デンソー
• - 燃料: ペトロブラス

結果

2008年のドライバーズランキングでは、ニコ・ロズベルグが13位、中嶋一貴が15位でした。FW30はその特長とデザインで多くのファンを引きつけたものの、最終的な競技成績は期待に添えない面がありました。

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