ウィリアムズ・JPH01

ウィリアムズ・JPH01とJPH1B

概要

ウィリアムズ・JPH01は、ウィリアムズF1が設計し、イングランド・エセックス州のマウンチューン・レーシングによって2009年のFIA F2選手権用に開発されたフォーミュラカーです。このモデルは2009年の開幕戦から2011年シーズンの終わりまで使用されました。また、2012年に発表されたマイナーチェンジ版であるJPH1Bについても、後述します。

JPH01の開発

JPH01の開発目標は、先行するマシンの後ろで走行してもフロントエンドのダウンフォースを犠牲にせずに、高いダウンフォースを維持することでした。ソリューションとして、シャーシはグラウンドエフェクトを活用した設計になっています。この車両は、時速150マイル（約241 km）で2,000ポンド（約908 kg）以上のダウンフォースを発生させることが可能です。

エンジンは、Formula Palmer Audiマシンの量産ユニットをベースにしつつ、F2専用に特化して開発されました。エンジン内部の部品、具体的にはクランクシャフト、コンロッド、ピストン、バルブトレインが新たに設計され、強度と軽量化が図られています。通常時の最大出力は約400馬力ですが、レース中に6秒のパワーブーストを10回使用することができ、このときの最大出力は450馬力に達します。この車は2009年3月2日にブランズハッチで初めて発表され、その際にシェイクダウンも行われました。

JPH01のスペック

以下は、ウィリアムズ・JPH01の主な仕様です：

• - シャーシ名: JPH01
• - モノコック: 2005年版フォーミュラ1安全基準適合
• - ボディワーク: カーボンファイバー製
• - ホイールベース: 2,885 mm
• - 前トレッド: 1,590 mm
• - 後トレッド: 1,475 mm
• - ブレーキ: AP
• - クラッチ: AP
• - ホイール: O・Z
• - タイヤ: エイヴォン（フロント：250/570-13、リア：300/600-13）
• - ギアボックス: ヒューランドTMT6速+リバース1速セミオートマチック
• - エンジン・ギヤボックスマネージメント: PiリサーチペクテルMQ12 ECU
• - データ記録: Piリサーチ
• - 車重: 570 kg

エンジンの詳細

• - エンジン名: アウディ
• - 気筒数: 直列4気筒ターボ
• - 排気量: 1,781 cc
• - 最大馬力: 400馬力（ブースト使用時450馬力、8,250回転時）
• - ターボ: ギャレットGT35ローラーベアリング・ユニット
• - バルブ数: 20バルブ（5バルブ/シリンダー）
• - ピストンボア: 81.0 mm
• - ストローク: 86.4 mm
• - エンジンマネージメント: ペクテルMQ12 ECU

JPH1Bの概要

JPH01の実戦投入から3シーズンが経過した後、2012年にはマイナーチェンジ版のJPH1Bが導入されました。この新たなバージョンでは、空力性能の改善や、主にギアボックス周りの軽量化が行われ、約25kgの軽量化が達成されています。さらに、エンジンの出力も通常時で約425馬力、ブースト時には約500馬力に向上しました。タイヤ供給元がエイヴォンから横浜ゴム（ADVAN）に変更されたこともあり、2011年12月にバルセロナで行われたテストでは、JPH01に比べて1周あたり約2.3秒のタイム短縮が見られました。しかし、FIA F2選手権は2012年限りで終了したため、JPH1Bもわずか1シーズンでの使用に限られました。

まとめ

ウィリアムズ・JPH01とそのマイナーチェンジ版であるJPH1Bは、FIA F2選手権において重要な役割を果たしたフォーミュラカーであり、性能やデザインにおいて多くの革新をもたらしました。その高級な技術とデザインは、フォーミュラカーの未来に大きな影響を与えました。

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