ウィリアム・ウィルソン (建築家)

ウィリアム・ウィルソン（William Wilson、生没年不詳）は、アメリカ出身の建築家であり、米国聖公会伝道局の宣教建築家として知られています。彼はコロンビア大学を卒業後、都市計画家グロヴナー・アタバリーのもとで建築の実務経験を積みました。

1916年（大正5年）、ウィルソンは立教大学池袋キャンパスの新築プロジェクトのため、マーフィー&ダナ建築設計事務所の指示のもと、米国聖公会の雇用契約で来日しました。当初、キャンパス建設の現場監督はジェームズ・ガーディナーが務めていましたが、ヘンリー・マーフィーの意向とチャールズ・ライフスナイダーの推薦により、ウィルソンが後任として選ばれました。25名もの候補者の中から選ばれたウィルソンは、短期契約の現場監理者として日本に派遣されました。

しかし、ウィルソンは自身の立場や権限が曖昧なことに加え、伝道局やアメリカの請負業者、費用に関する問題、そして設計事務所との連絡における多くの困難に直面しました。これらの要因から、契約期間の途中である1917年（大正6年）10月に自らの意思で現場を離れることになりました。

現場監督を辞任した後も、ウィルソンはしばらく日本に留まり、建築家として活動を続けました。彼は、熊谷聖パウロ教会2代目礼拝堂、川越キリスト教会3代目礼拝堂、大阪・川口基督教会2代目礼拝堂（基本設計）、そして聖バルナバ病院2代目院舎の設計を手掛けました。また、関東大震災で被災した立教大学池袋キャンパスの復興工事にも携わっています。

ウィリアム・ウィルソンの主な作品は以下の通りです。

熊谷聖パウロ教会2代目礼拝堂（1919年、現存）
大阪・川口基督教会2代目礼拝堂（1920年、現存）
川越キリスト教会3代目礼拝堂（1921年、現存）
聖バルナバ病院2代目院舎（1923年、現存せず、基本設計、実施設計はウィリアム・メレル・ヴォーリズ）

ウィルソンの建築作品は、日本のキリスト教建築において重要な役割を果たしており、彼の設計した教会堂は今日でもその美しい姿を留めています。彼の日本での活動は、西洋建築の技術とデザインを日本に導入する上で大きな貢献をしたと言えるでしょう。

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