ウィリアム・グリフィス

ウィリアム・エリオット・グリフィスの生涯と業績

ウィリアム・エリオット・グリフィス（William Elliot Griffis, 1843年9月17日 - 1928年2月5日）は、アメリカ合衆国ペンシルベニア州フィラデルフィアで生まれました。彼は、お雇い外国人として明治初期の日本で理科教師を務めただけでなく、牧師、著述家、日本学者、東洋学者としても知られています。

生い立ちと教育

1843年、ジョン・メリバーナとアンナ・マリア・ヘスの間に生まれたグリフィスは、1865年にニュージャージー州のラトガース大学に入学します。大学在学中には、同大学初の日本人留学生である日下部太郎と出会い、ラテン語を教えました。1869年に同大学を卒業し、Bachelor of Artsの学位を取得しました。

日本での活動

1870年末に来日したグリフィスは、翌年3月から福井藩の藩校明新館で理化学を教え始めました。彼は天窓付きの理科室や大窓のある化学実験室を設計し、これらは日本で最初の米国式理科実験室とされています。講義は英語で行われ、生徒たちは通訳を介して理解する必要がありました。グリフィスは、当時の福井では手に入らなかったパンの代わりに、餡なしの饅頭の皮を代用したという逸話も残っています。

1872年には大学南校（東京大学の前身）に移り、物理、化学、精神科学などを教えました。1874年7月には、福井以来の教え子である今立吐酔を伴って帰国しました。

帰国後の活動

帰国後、グリフィスはニューヨークのユニオン神学校で学び、牧師となりました。その傍ら、1876年には『The Mikado's Empire（皇國）』を出版し、アメリカ社会に日本を紹介する執筆・講演活動を積極的に行いました。彼の日本滞在中に記した日記や収集資料は、「グリフィス・コレクション」としてラトガース大学アレクサンダー図書館に収蔵されています。

グリフィスの年表

1843年：ペンシルベニア州フィラデルフィアで生まれる。
1865年：ラトガース大学入学。
1869年：ラトガース大学卒業。
1870年：日下部太郎死去。同年、日本へ。
1871年：福井藩校明新館で理化学教師となる。
1872年：大学南校（東京大学の前身）へ。
1874年：帰国。
1875年：ユニオン神学校入学。
1876年：『The Mikado's Empire』を出版。
1877年：ユニオン神学校卒業、牧師となる。
1879年：キャサリン・ライラ・スタントンと結婚。
1884年：ユニオン大学から神学博士号を受ける。
1908年：勲四等旭日小綬章を受章。
1926年：勲三等旭日中綬章を受章。
1928年：フロリダ州で死去。

グリフィスの著書

グリフィスは、日本に関する多くの著書を出版しました。その中でも特に有名なのは、以下の通りです。

『維新外論』
『日本近世変革論』
『The Mikado's Empire（皇國）』：日本の歴史と文化を紹介した著作。
『A maker of the new Orient, Samuel Robbins Brown, pioneer educator in China, America, and Japan』
『Hepburn of Japan』
『Verbeck of Japan』
『Corea the Hermit Nation』

これらの著書は、当時の欧米社会における日本理解に大きく貢献しました。

グリフィスの遺産

グリフィスは、日本とアメリカの架け橋として重要な役割を果たしました。彼の教育者としての功績は、日本における近代科学教育の基礎を築いたと言えます。また、著述家として、日本の文化や歴史を欧米に広く紹介しました。彼の功績を称え、ラトガース大学のあるニューブランズウィック市と福井市は姉妹都市提携を結んでいます。

まとめ

ウィリアム・エリオット・グリフィスは、明治初期の日本において、教育者、学者、著述家として多大な貢献をしました。彼の業績は、現代においても高く評価されており、日米間の相互理解を深める上で重要な役割を果たしています。

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