ウィリアム・シャープ・マクリー

ウィリアム・シャープ・マクリーについて

ウィリアム・シャープ・マクリー（William Sharp Macleay）は、1792年7月21日にロンドンで生まれ、1865年1月26日に亡くなったイギリスの昆虫学者であり、行政官でもありました。彼の生涯は、昆虫学への深い情熱と多様な専門分野における貢献で特徴づけられています。

幼少期と教育

マクリーは、政治家で昆虫標本の収集家として知られるアレキサンダー・マクリー（Alexander Macleay）の息子として生まれました。ウェストミンスター・スクールで学んだ後、彼はケンブリッジ大学のトリニティ・カレッジに進学し、1814年に学士号、1818年には修士号を取得しました。教育を受けた環境の影響から、幼少期から昆虫に対する興味を抱くようになりました。

キャリアの始まり

マクリーは、外交官としてパリの大使館での職務を経験しました。ここでは、彼は著名な動物学者たちと交流を持ち、ジョルジュ・キュヴィエやエティエンヌ・ジョフロワ・サンティレール、ピエール・アンドレ・ラトレイユとの出会いを通じて、昆虫学への理解を深めていきました。

1819年にイギリスに戻ったマクリーは、1825年から1836年までハバナで奴隷貿易を抑止するための司法裁判所のメンバーとして活動しましたが、その後オーストラリアへ移住しました。彼は、父が建設したシドニーのエリザベス・ベイ・ハウスに住みながら、博物学の研究を継続しました。

昆虫学への貢献

マクリーは、イギリスで支持を受けていた「Quinarian system」という分類体系に基づき、新たな昆虫の分類体系を提案しましたが、彼の理論は広く浸透することがありませんでした。1839年には「Annals of Natural History」に魚類や三葉虫の分類に関する論文を執筆するなど、博物学への寄与を行いました。しかし、彼の主張は親しい博物学者以外には注目されませんでした。

オーストラリアでの生活は、昆虫以外にも海洋生物への興味を掻き立てました。シドニーの彼の邸宅は、博物学に情熱を持つ人々の集まる拠点としても知られるようになりました。

学会活動と著作

1821年にはロンドン・リンネ協会のフェローに選ばれ、さらにロンドン動物学会のフェローにも任命されました。1839年にはイギリス科学振興協会の会長を務めたほか、オーストラリア博物館の理事としても活動しました。

彼の著作には以下のものがあります。

• - Horæ Entomologicæ, or Essays on Annulose Animals （1819年、1821年）
• - Annulosa Javanica, or an Attempt to illustrate the Natural Affinities and Analogies of the Insects collected in Java by Thomas Horsfield （1825年）
• - Illustrations of the Annulosa of South Africa （1838年）
• - Remarks on the Identity of certain General Laws, which have been lately observed to regulate the Natural Distribution of Insects and Fungi （1825年、ロンドン・リンネ協会の紀要に掲載）

個人生活と資産

マクリーは生涯独身であったため、彼の資産は弟の動物学者ジョージ・マクリーに相続されました。父と共に作り上げた昆虫標本は、シドニー大学に保管され、のちにマクリー博物館（Macleay Museum）の設立に寄与しました。

マクリーの生涯と業績は、19世紀における昆虫学の発展に大きな影響を与えました。彼の研究や収集した標本は、今も多くの人々にとって重要な資源として残っています。

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