ウィリアム・ハーバート (初代ポウィス侯爵)

初代ポウィス侯爵ウィリアム・ハーバート

初代ポウィス侯爵ウィリアム・ハーバート（1626年 - 1696年）は、17世紀イングランドの貴族であり、廷臣でした。彼はポウィス侯爵家の初代当主として知られています。

生涯

ウィリアム・ハーバートは、第2代ポウィス男爵パーシー・ハーバートとエリザベス・クレイヴンの息子として生まれました。1667年に父の跡を継ぎ、第3代ポウィス男爵となりました。1674年にはチャールズ2世によりポウィス伯爵に陞爵し、1687年にはジェームズ2世によってモンゴメリー子爵とポウィス侯爵に叙せられました。また、1686年には枢密院の一員にもなっています。

結婚と家族

1654年7月、ウィリアム・ハーバートは第2代ウスター侯爵エドワード・サマセットの娘エリザベスと結婚しました。夫妻の間には、ウィニフレッド、アン、フランセス、メアリーの4人の娘と、後継ぎとなる息子のウィリアムが生まれました。

名誉革命とジャコバイト

ポウィス侯爵夫妻はカトリック貴族層の指導者であり、1688年の名誉革命後もジェームズ2世への忠誠を貫きました。ポウィス侯爵は、王妃メアリーとウェールズ公ジェームズ・フランシス・エドワードをフランスへ送り届けるという重要な任務を果たし、その功績によりジェームズ2世からジャコバイト貴族としての「ポウィス公爵」と「モンゴメリー侯爵」の称号を授与されました。

1690年、ポウィス侯爵はジェームズ2世と共にアイルランドへ渡り、国王の主要な顧問の一人として活動しました。ジェームズ2世は彼をアイルランドの枢密院顧問官および宮内長官に任命しました。しかし、ボイン川の戦いでジェームズ2世が敗北しフランスへ逃れると、ポウィス侯爵もアイルランドに留まり、サン＝ジェルマン＝アン＝レーに開かれた亡命宮廷に身を寄せました。

ジャコバイト宮廷での晩年

ポウィス侯爵はジャコバイト宮廷で司厨長および宮内長官を務めましたが、国王の顧問たちからはさほど重要視されませんでした。妻のエリザベスは、1691年に亡くなるまでメアリー王妃の女官長およびウェールズ公のガヴァネスを務めました。ポウィス侯爵は1692年にガーター勲章を授与されました。

乏しい収入の中でジャコバイト宮廷の格式を維持しようと苦闘するうちに、ポウィス侯爵の影響力は低下していきました。彼は他のジャコバイトよりも大きな代償を払い、1万ポンドの収入が得られる所領を失いました。1696年6月2日、ポウィス侯爵はサン＝ジェルマンで落馬事故により亡くなり、その地に埋葬されました。

後継

息子のウィリアムは後に法廷闘争を経てイギリスにおける所領の一部を取り戻し、父の代に剥奪されていたポウィス侯爵位を正式に回復させることに成功しました。

参考文献

* "Herbert, William (1617-1696)" . Dictionary of National Biography (英語). London: Smith, Elder & Co. 1885–1900.

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