ウィリアム・バックリー・ジュニア

ウィリアム・バックリー・ジュニア（William F. Buckley Jr., 1925年11月24日 - 2008年2月27日）は、アメリカ合衆国を代表する保守思想家、作家、そして評論家として知られています。彼は、20世紀後半のアメリカの保守主義運動において、重要な役割を果たしました。

生い立ちと教育

バックリーは、ニューヨークで裕福な石油事業を営む家庭に生まれ、カトリック教徒として育てられました。彼は、メキシコ国立自治大学で学んだ後、アメリカ陸軍士官学校を卒業。陸軍少尉に任官し、第二次世界大戦中は国内勤務を務めました。終戦後、イェール大学に進学し、保守派学生の秘密結社「スカル・アンド・ボーンズ」に加入しました。また、大学在学中には「イェール・デイリー・ニュース」の編集長を務め、マッカーシズムを支持する立場を表明しました。

CIAでの勤務と保守思想家としての台頭

大学卒業後、バックリーはCIAに3年間勤務しました。その後、1951年に『イェール大学における神と人間』を出版し、保守派の理論家としてのキャリアをスタートさせました。1955年には、保守派の意見を代表する雑誌『ナショナル・レビュー』を創刊し、長年にわたり同誌を編集しました。この雑誌は、保守思想の知的拠点として広く認識され、アメリカの保守主義運動を牽引する存在となりました。

テレビ出演と影響力

1966年からは、テレビ番組「ファイアリング・ライン」の司会者を務め、1999年まで33年間にわたり番組を続けました。この番組を通じて、バックリーは保守的な視点から政治や社会問題について議論を交わし、その存在を広く知らしめました。彼は、反共主義者であり、リバタリアンまたは保守主義者であると自称していました。

小説家としての側面

1975年、バックリーはフレデリック・フォーサイスの小説『ジャッカルの日』に触発され、スパイ小説『女王陛下よ永遠なれ』を執筆しました。この小説では、CIA職員を主人公とし、彼のスリリングな活躍を描いています。1980年には、第二作となるスパイ小説『汚れたガラス』で全米図書賞（ミステリー部門ペーパーバック）を受賞しました。これらの小説は、彼の多才さを示す一例と言えるでしょう。

著書（日本語訳）

『女王陛下よ永遠なれ』ウィリアム・F.バックリー著、篠原慎訳、角川書店、1981年
『聖アンゼルムの暗殺者』ウィリアム・F.バックリー著、飯島宏訳、角川書店、1985年
『<群島>から来た男』ウィリアム・F.バックリー著、岩元巌訳、角川書店、1987年

関連事項

索引 ～の歴史
* 脚注

バックリーの業績は、アメリカの保守主義運動の発展に大きな影響を与えました。彼の知的な議論と多様な活動は、今もなお多くの人々に影響を与え続けています。

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