ウィリアム・ホイーラー

ウィリアム・ホイーラー

ウィリアム・ホイーラー（William Wheeler、1851年 - 1932年）は、アメリカ合衆国の土木技術者であり、教育者として知られています。

経歴

ホイーラーは1871年にマサチューセッツ農科大学を卒業しました。彼の才能は早くから注目され、恩師であるウィリアム・スミス・クラークが札幌農学校（現在の北海道大学）設立のために日本政府に招聘された際、ホイーラーもまた、同じくマサチューセッツ農科大学の卒業生であったデビッド・P・ペンハローと共に来日しました。

札幌農学校での貢献

ホイーラーは札幌農学校において、数学、土木工学、そして英語の教鞭を執りました。彼は教育者としてだけでなく、開拓使に対して科学的な助言を行う役割も担い、小さな気象観測所を設置したり、交通ルートの調査、運河建設の監督など、多岐にわたる分野で貢献しました。

クラークが帰国した後、ホイーラーは1877年から1879年まで札幌農学校の教頭を務めました。この時期には、兵式訓練や入学式・卒業式などを行うための中央講堂の建設を計画し、1878年10月16日には演武場（現在の札幌市時計台）が竣工しました。この演武場は、彼の教育者としての功績を今に伝える象徴的な建造物となっています。

結婚と帰国

ホイーラーは一時帰国し、1878年7月17日にファニー・エレナー・ハバード（Fannie Eleanor Hubbard）と結婚しました。新婚生活の最後の1年間を札幌で過ごし、1879年12月にアメリカへと帰国しました。

アメリカでの活躍

アメリカに帰国後、ホイーラーは治水技術者として活躍し、ビジネスの世界でも成功を収めました。また、1887年から1929年までの長きにわたり、母校であるマサチューセッツ農科大学の理事を務め、大学の発展に貢献しました。

円山館

ホイーラーはマサチューセッツ州コンコードのナショトゥク・ヒルに農場を購入し、住宅地を開発しました。そして、自らも邸宅を建ててそこに居住し、その邸宅を「円山館」(Maru-Yama Kwan (Round Hill House))と名付け、庭には日本の木々を植えました。この邸宅は、彼が日本で過ごした日々への深い愛情と敬意の表れでした。

1924年の早春には、欧米視察中の石川栄耀がこの「円山館」を訪れ、恩師である広井勇から託された勲五等旭日章授与の祝の手紙をホイーラーに手渡しました。このエピソードは、ホイーラーと日本との絆の強さを物語っています。

参考文献

ウィリアム・ホイーラーの論文 - マサチューセッツ大学
高崎哲郎著『評伝・お雇いアメリカ人青年教師ウィリアム・ホイーラー』鹿島出版会、2004年
* 赤石恵一（2024）．『札幌農学校教授ウィリアム・ペン・ブルックス：生涯とその時代』北海道大学出版会．

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