ウィリアム・ボルコム

ウィリアム・ボルコム

ウィリアム・ボルコム（William Bolcom, 1938年5月26日 - ）は、アメリカ合衆国ワシントン州シアトル出身の作曲家、ピアニスト、音楽学者です。ラグタイムを中心としたジャズのイディオムを基盤とした作曲スタイルで知られ、現代音楽界において独自の地位を確立しています。

経歴

1938年、ワシントン州シアトルで生まれたボルコムは、幼少の頃から音楽の才能を発揮し、11歳でワシントン大学に入学、作曲を学び始めました。1975年には、メゾソプラノ歌手のジョーン・モリスと結婚。彼女とは公私にわたりパートナーとして、数多くの演奏やレコーディングを共に行っています。

1988年、ボルコムは「ピアノのための12の新しいエチュード」でピューリッツァー賞音楽部門を受賞。この作品は、彼の多様な音楽的背景と卓越した作曲技術を示す代表作の一つです。また、グラミー賞も2度受賞しており、その才能は広く認められています。

ピアニストとしては、ジョージ・ガーシュウィンやダリウス・ミヨーの代表的な演奏家として知られ、特にガーシュウィンの作品においては、その解釈の深さと卓越した演奏技術が高く評価されています。また、ラグタイムの録音も数多く残しており、そのジャンルの復興にも貢献しました。

音楽学者としては、フランツ・シューベルトの「レリーク」、イサーク・アルベニスの「ナバーラ」など、未完成のピアノ作品の補筆を手がけています。これらの補筆は、単なる補完作業にとどまらず、作曲家の意図を深く理解し、作品に新たな命を吹き込む創造的な試みとして評価されています。

主な作品

First Symphony (1957年)
Symphony No. 2 "Oracles" (1964年)
Black Host (1967年)
優雅な幽霊のラグ (1970年)
Commedia (for "Almost" 18th Century Orchestra) (1971年)
Concerto for Piano and Orchestra (1976年)
Third Symphony (for Chamber Orchestra) (1979年)
Gospel Preludes (Books 1-4) (1979年-1984年)
Songs of Innocence and of Experience (William Blake) (1984年)
Lilith for Alto Saxophone and Piano (1984年)
Concerto in D for Violin and Orchestra (1984年)
Cabaret Songs (Vol. 1 and 2) (1977年-1985年)
Fantasia Concertante, for viola, cello and orchestra (1986年)
Fourth Symphony (1986年)
Twelve New Etudes for Piano (1977年-1986年)
Fifth Symphony (1989年)
McTeague (1990年-1992年)
Lyric Concerto for Flute and Orchestra (1992年-1993年)
Cabaret Songs (Vol. 3 and 4) (1993年-1996年)
Gaea, Concerto for Two Pianos Left Hand, and Orchestra (1996年)
Sixth Symphony (1996年-1997年)
A View from the Bridge (1997年-1998年)
Concert Suite (for alto saxophone and band) (1998年)
Piano Quintet (2000年)
Seventh Symphony (2002年)
A Wedding (2004年)
Eighth Symphony (2005年)
Canciones de Lorca (2006年)
Lucrezia (2007年)
First Symphony for Band (2008年)
Prometheus (2009年)

外部リンク

ウィリアム・ボルコムとジョアン・モリスの公式ウェブサイト（英語）

ボルコムの作品は、その多様な音楽的要素と、アメリカ音楽の伝統に対する深い敬意が込められています。彼の音楽は、聴衆を魅了し、新たな音楽体験へと誘います。

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