ウィリアム・ポーレット (初代ウィンチェスター侯爵)

ウィリアム・ポーレット：激動の時代を生き抜いた政治家

ウィリアム・ポーレット（1483/1485年 - 1572年）は、初代ウィンチェスター侯爵として知られ、テューダー朝の激動期において、その政治手腕を発揮し、重要な地位を維持し続けた人物です。彼は、ヘンリー8世からエリザベス1世に至るまで、5代の王に仕え、イングランドの政治において多大な影響を与えました。

生い立ちと初期のキャリア

ポーレットは、サー・ジョン・ポーレットの息子として生まれました。1511年からハンプシャーのシェリフを複数回務め、1529年からは宗教改革議会で庶民院議員として活躍しました。1532年からは王室監査官を務め、1536年には修道院から没収した土地を与えられるなど、着実にキャリアを積み重ねていきました。

爵位の叙爵と要職歴任

1537年、王室会計長官に任命されたポーレットは、その功績によりベイジングのセントジョン男爵に叙せられました。その後も、後見裁判所長官、枢密顧問官、ガーター勲章受勲など、要職を歴任しました。ヘンリー8世の遺言執行人の一人にも指名され、エドワード6世の時代には国璽尚書に就任するなど、その地位を確固たるものとしました。

財政改革への貢献

1550年、ウィルトシャー伯爵に叙せられ、翌年にはウィンチェスター侯爵となりました。同年から大蔵卿を務め、ヘンリー8世晩年からの戦争で疲弊した国家財政の再建に尽力しました。ノーサンバランド公主導の通貨悪鋳によるインフレーションに対し、通貨の品質向上や財政機構改革を推進し、国家財政の危機的状況の打開に貢献しました。

メアリー1世とエリザベス1世の時代

エドワード6世の死後、ジェーン・グレイを支持しましたが、後にメアリー1世を支持に転じました。その結果、メアリー1世、そしてエリザベス1世の時代にも官職を維持し、1559年と1566年の議会では貴族院議長を務めました。

死去と家族

1572年、ポーレットはハンプシャー・ベイジング・ハウスで90歳近い高齢で亡くなりました。彼は、1509年にエリザベス・カペルと結婚し、8人の子供を儲けました。長男のジョン・ポーレットは、第2代ウィンチェスター侯爵位を継承しました。

ウィリアム・ポーレットは、激動の時代を巧みに生き抜き、イングランドの政治に深く関与した人物として、歴史に名を残しています。

栄典

1539年: ベイジングの初代セントジョン男爵
1550年: 初代ウィルトシャー伯爵
1551年: 初代ウィンチェスター侯爵
1543年: ガーター騎士団

家族

配偶者: エリザベス・カペル
子供:
ジョン・ポーレット (第2代ウィンチェスター侯爵)
トマス・ポーレット
チディオック・ポーレット (サウサンプトン総督)
ジャイルズ・ポーレット
アリス・ポーレット
マーガレット・ポーレット
マージェリー・ポーレット
エレノア・ポーレット

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