国璽尚書

国璽尚書（こくじしょうしょ）とは

国璽尚書とは、ヨーロッパの各国において、国家の象徴である国璽を管理する官職です。国璽は、国家の重要な文書に押印される印章であり、その管理は国家運営において重要な役割を担います。

イギリスにおける国璽尚書

イギリスの国璽尚書（英語: Lord Keeper of the Great Seal of England、後にLord Keeper of the Great Seal of Great Britain）は、イングランド王国時代から続く官職で、国璽（御璽）の管理を主な職務としていました。現在では王璽尚書に統合されています。

歴史

国璽の歴史は、エドワード懺悔王の時代にまで遡ると言われています。当初、国璽の管理は大法官に委ねられていましたが、大法官の職務が多忙になるにつれて、国璽は大法官代理や尚書が保管するようになりました。その後、国璽尚書は独立した官職となり、国璽に関連する行政事務手続きを統括するようになりました。

国璽尚書は、必ずしも貴族であるとは限りませんでしたが、通常は王の意に適う人物がその地位に就いていました。大法官が国王特許状によって任命されるのに対し、国璽尚書は国璽を送付されることで実質的に任命されていました。

エリザベス1世の時代には、当時の国璽尚書であったニコラス・ベーコンが女王によって大幅に優遇され、法律の執行権や関税の免除など、大法官並みの特権を与えられました。しかし、1761年には大法官との兼務が多かった国璽尚書の官職自体が廃止され、その職務は大法官府に統合されました。最後の国璽尚書はロバート・ヘンリー卿でした。

さらに1873年には、大法官の職域・権限が拡大しすぎたため、国璽・御璽の管理は王璽尚書（国王の私的な印章を管理する官職）に移管されました。王璽尚書は現在もイギリス内閣の閣僚ポストとして存在しています。

フランスにおける国璽尚書

フランスの国璽尚書（フランス語: Garde des Sceaux）は、第五共和政においては司法大臣が兼務しています。国璽は司法省の大臣執務室に保管されています。

まとめ

国璽尚書は、国璽という国家の重要な印章を管理する役職であり、その役割は各国で異なっています。イギリスでは大法官との関係が深く、歴史の中でその役割が変化してきましたが、フランスでは司法大臣が兼務するなど、各国の政治制度や歴史的背景を反映した制度となっています。

関連事項

* 大法官と国璽尚書の一覧 （架空のURL）

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